TwitterやLineなど、数多く存在するソーシャルメディアプラットフォーム。しかし中でも、若者に人気があった「Instagram」は今後苦戦する可能性が高いとみられています。
Instagramが苦戦するであろう要因と、今後どのようになっていくかを、海外YouTubeチャンネル「Logically Answered」が解説しています。
*Category:テクノロジー Technology|*Source:Logically Answered,wikipedia
なぜInstagramは、新たなユーザーを獲得できないのか?
MySpaceというソーシャルメディアプラットフォームは、立ち上げからわずか2年で世界最大級となり、1億人を超えるユーザーを獲得しました。そして3年後には、YahooやGoogleを凌いで、アメリカで最も訪問者数の多いウェブサイトになりました。
この爆発的な成長を考えると、このプラットフォームが設立から2年以内で5億8,000万ドル(約800億円)で買収されたと聞いても誰も驚かないでしょう。
しかしこの成長は、現在はあまり知られていない「MySpace」というSNSの成長に似ています。2008年半ばにはFacebookがMySpaceをユーザー数で上回り、その後、5年間でMySpaceのユーザー数は1億1,500万人から3,600万人にまで減少しました。そしてMySpaceは、わずか3,500万ドル(約50億円)で他の買い手に買収されました。
この価格は、最初の買収額である5億8000万ドル(約800億円)のわずか6%に過ぎません。ただ、MySpaceを使う人がほとんどいないことを考えると、それほど驚くべき価格ではありません。
Instagramは、立ち上げから3年で、1億人という驚異的なユーザー数を獲得しました。そして、Instagramは10億ドル(約1,300億円)でFacebookに買収されました。
しかし、MySpaceで見たように、急速な普及が必ずしも長期的な成功を示すとは限りません。ユーザーが早く去ってしまう可能性も十分にあり得るのです。
これは、Instagramが今後2、3年のうちに崩壊すると言っているわけではありません。ただInstagramには、MySpaceと同じ結果になってしまう前兆が現れています。
Instagramの全体的なユーザー数は、まだ減少の兆しを見せていませんが、心配なのはユーザーの年齢です。Instagramの13~17歳のユーザー層はわずか8%しかいません。これは、Instagramを利用している高校生の数が、Instagramを利用している45〜54歳の数と同等であることを示します。
これは一見すると問題ないように思えますが、競合他社の属性を見てみると、Instagramにどれだけ若者がいないかがわかります。
例えば、Snapchatは、13~17歳がユーザーの20%強を占め、18~24歳は40%近くを占めています。一方、50歳以上のユーザーはわずか3.7%で、13~17歳のユーザーの8倍も少ないのです。
TikTokを見ると、さらに若年層に偏っていることがわかります。TikTokの最大のユーザーは10〜19歳で、ユーザーの4分の1を占めています。他に注目すべき点は、10〜19歳が最大のユーザーであるにもかかわらず、TikTokは他の年齢層にもかなり人気があることです。
これはInstagramが、以前のように新しい世代にアピールできていない具体的な証拠です。
また、10代の若者がソーシャルメディアを利用していないということではありません。10代の間でのソーシャルメディアの利用は、かつてないほど高まっています。実際、13〜17歳の97%がソーシャルメディアを使っています。
しかし、Instagramは、若者の最有力候補ではありません。人口統計学的な数字に基づくと、若者はSnapChatやTikTokを好んでいます。一方、Instagramの人口統計学的な数字は、ますますFacebookのようになりつつあります。
Facebookは13~17歳の間では極めて不人気です。実際、Facebookを利用しているのは、13~17歳よりも55~64歳の方が多いです。そして、65歳以上の層は、13~17歳と同等です。
ただ、高齢化したユーザー層には、いくつかの利点があります。利点の1つ目は、Facebookのユーザー層が多くのお金を持っていることです。そのため広告主から高い金額を請求することができます。2つ目の利点は、年齢層が高いため悪意のあるような投稿が少ないことです。
しかし懸念されるのは、年齢が上がるにつれソーシャルメディアに費やす時間は減る傾向にあるという点です。それは、より多くの責任を負うからだけでなく、世間の注目を集める必要性を感じなくなるからです。年齢を重ねると、ネット上の人物像を維持するよりも、家族や子供、親しい友人を優先する傾向があるのです。
これは、彼らにとっては良い選択かもしれませんが、ソーシャルメディアプラットフォームにとっては最悪です。ユーザーは、1日に3〜4時間利用する10代や若者から、数日または数週間に1回チェックする中高年へと徐々に変化していきます。
これがSNSビジネスにとって恐ろしいことであるのは、説明するまでもないでしょう。そして、Instagramが新しい世代を取り込まない限り、最終的に向かう先はここなのです。
InstagramはZ世代の間で精彩を欠くパフォーマンスを続けました。そして、Instagramは他社の真似も始めました。
当初、Instagramの親会社であるMetaは、トップに立とうとしました。そのため、InstagramやWhatsAppのような買収におびただしい金額を費やしたのです。しかし、お金だけでは、買収できないことに気がつきます。
実際、Facebookは2013年にSnapChatを買収するために30億ドル(約4,000億円)の現金を提供しました。しかし、SnapChatのCEOであるエヴァン・シュピーゲルは買収を拒否しています。
そして、Metaは自分たちが気に入った企業をすべて買収できないとわかると、気に入った企業を真似するようになりました。
Metaは、InstagramにSnapchatのストーリーと酷似した機能を追加しました。さらに、TikTokに酷似したReelsの機能も追加させたのです。
ただ、すべてのソーシャルメディアプラットフォームがこのようなことを行っているため、Instagramが批判されることはありませんでした。実際に、YouTubeでもストーリーやショートムービーが見れるようになっています。
しかし、他のソーシャルメディアプラットフォームの真似をすることによって、オリジナリティがなくなってしまいました。
これらのコピーされた機能は、競争率の低さを利用しようとする新しいクリエイターを惹きつけることができても、新しい視聴者を惹きつけることはほとんどできません。
つまり、TikTokもInstagramも持っていない人が、短い形式のビデオを見たい場合、多くの人は、TikTokをダウンロードするということです。なぜなら、あえてInstagramをダウンロードする意味が無いからです。
Instagramの人口動態の数字が、このことを証明しています。MetaやYouTubeもこのことをよく理解しており、そのような機能で新しいユーザーを引き付けようとはしていません。
むしろ、既存のベースを維持し、視聴時間のロスを最小限に抑えようとしているのです。しかし、機能のコピーや視聴時間の確保に時間を割くあまり、そもそも何がユーザーに魅力的だったのかを忘れてしまっています。
特にInstagramの場合、ユーザーがすでに離れ始めているため、この点が問題になっています。
これは、Metaのプライバシーに関する懸念や政治的関与の話ではありません。このプラットフォームが有害であるため、Instagramに背を向けている人々がいるという話です。
Instagramが大げさな写真で埋め尽くされているのは、周知の事実です。Instagramは、自分の人生を友人と共有する場から、自分のハイライトを知人と共有する場、そして見知らぬ人を感動させるために加工された写真を共有する場へと変遷してきました。
Instagramのユーザーは、このことを以前にも増して認識しており、それがプラットフォームに対する認識を完全に歪めてしまっています。
Metaは、ユーザーを惹きつけるオリジナリティと信頼性を促進することに時間を費やすべきでした。しかし、彼らはTikTokやSnapChatの機能をコピーすることで精一杯でした。
そして、Instagramが徐々にただのソーシャルメディアプラットフォームに変貌していくにつれ、若い世代にアピールすることはさらに難しくなっていくでしょう。
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