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太陽に〝全世界の核ミサイル〟を打ち込むとどうなるのか?


太陽は水素の核融合反応により、その熱と輝きを保っています。この仕組みは水素爆弾(水爆)などにも使われており、世界で最も大きな威力を持つ兵器として知られています。

では、太陽に核兵器を撃ち込めば、これらのエネルギーはどうなるのでしょうか?これについて、科学系YouTubeチャンネル「What If」が解説しています。




*Category:テクノロジー Technology|*Source:What If(1),(2)

太陽に核兵器を撃ち込むと、どのような変化が発生するのか?


太陽の内部の温度と圧力は非常に高く、これによって水素原子が融合し、ヘリウムになります。その過程で莫大なエネルギーが放出され、それが太陽の動力源となっています。これが「核融合」です。

しかし、今から約50億年後、太陽は水素を使い果たし、死んでしまうといわれています。そのため、もし人類がそこまで生き続けていたならば、太陽に燃料を供給する方法を模索するはずです。

その方法として、太陽に核兵器を撃ち込むというのはどうでしょうか。水素を利用している核兵器を撃ち込めば、太陽のエネルギーを復活させることができるかもしれません。

計画を実行するためには、地球上の核兵器をひとつひとつ集める必要があります。ただ、核兵器保有が確認されている9カ国は、互いに極めて疑心暗鬼であるため、容易ではないでしょう。しかし、太陽が死ぬことを伝えれば、大量破壊兵器を放棄して協力してくれるかもしれません。

今、人類は少なくとも13,000個の核兵器を持っています。それぞれが少なくとも100キロトンのダイナマイトのような爆発力を持ちます。米国だけでも、第二次世界大戦中に長崎に投下された爆弾の60倍の威力を持つ核兵器を650個保有していると推定されています。

不意の爆発は絶対に避けなければなりません。もし、核兵器が1つ1つ爆発したら、その爆発で大量の瓦礫が大気中に放出され、核の冬が到来してしまうでしょう。そうなると太陽光が地表に届かなくなります。そして、世界的に氷点下の気温になり、生態系が崩れ、核の雨が降ります。この事故は、人間も動物も、すべての生き物を破滅させます。太陽を守ろうとするあまり、人類は太陽の暖かい光をすべて遮断してしまうかもしれないのです。

また、資金調達をする必要があります。もし、現代の核兵器が長崎に投下されたものに近い質量を持つとしたら、それをミサイルに乗せて宇宙へ送るには約1,700億ドル(約24兆円)の費用がかかります。

仮に資金を調達できたとしても、その先にはもっと困難な課題が待ち受けています。例えば、太陽に近づいても溶けないような宇宙船をどうやって作るのかという問題です。これまで宇宙船が太陽に最も近づいたのは、850万キロメートルです。

その距離でも、宇宙船は1,377℃の高温に耐える必要がありました。その際は、炭素複合材料でできた熱シールドによって、灼熱に耐えることができています。人類が核兵器を宇宙へ送り出すには、この熱シールドをさらに改良する必要があります。

技術的な障害はまだ山ほど残っています。例えば、核ミサイルを宇宙へ打ち上げるのに最も安全な場所を見つける必要があります。また、膨大な距離からミサイルを監視・制御する技術の開発も必要です。

もし、仮にそれが全て実現できたとしましょう。そうすると、最後は水素を燃料とする太陽に、すべての核ミサイルを発射する命令を出すだけです。そして、太陽のエネルギーが再充電されるのを待ちます。しかし、13,000個の核ミサイルを打ち込んでも太陽に変化はありません。なぜなら、太陽のエネルギーに比べれば核兵器の威力など大したことがないからです。

太陽は、核兵器をすべて合わせたものの7,000万倍以上のエネルギーを毎秒発生させています。ヘリウムを作るための水素が足りなくなったからといって、水素を利用した核兵器を投げ込むという行為は、山火事にマッチ箱を投げ込むようなものなのです。

もっと、莫大なエネルギーを必要とするなら「反物質爆弾」が必要です。物質とは、人間や地球、太陽、その他多くのものを構成しているものです。一方、反物質は、通常の物質とは逆の性質を持つ素粒子で構成されています。


物質の粒子が反物質の粒子と衝突すると、エネルギーの閃光の中で互いに消滅します。つまり、その2つの陣営が十分に接触すれば、大爆発を起こすということです。ただ、反物質は非常に希少です。地球上の反物質をすべて集めても、20ナノグラム程度にしかならないのです。ちなみに、ナノグラムは1グラムの10億分の1です。

これでは、たとえ物質と結合したとしても、お茶を沸かすエネルギーにもなりません。もっと多くの反物質を作り出すことはできますが、その場合、たった1グラムを作るのに少なくとも2兆7千ドル(約286兆円)の費用がかかります。

そのため、人類の現代の技術では、太陽を復活させることも、破壊することも不可能です。とはいえ、太陽が燃え尽きるのはまだまだ先のことなので、しばらくは心配しなくてもいいはずです。



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