多くの民間企業が参加し始めている宇宙開発事業ですが、ロケットを使わない一風変わったアプローチをとっているベンチャー企業もあります。それが米カリフォルニア州の宇宙飛行技術開発企業「SpinLaunch」です。
関連:イーロン・マスク「Twitterの社長クビね」〝ほぼ乗っ取り〟の衝撃買収、何が起こったのか時系列で完全解説SpinLaunchが目指す持続可能な打ち上げシステムとは?
「SpinLaunch」は、2014年にジョナサン・イェニー氏によってカリフォルニア州サニーベールで創業されました。現在の本社は、カリフォルニア州ロングビーチにあります。
SpinLaunchは、従来の化学ロケットへの依存を減らし「遠心力を利用してモノを宇宙空間に飛ばす」という打ち上げシステムを開発しています。
SpinLaunchは、軌道に向かって垂直に推進する従来の化学ロケットエンジンを使う代わりに、大きな真空チャンバーの中で回転するアームを使います。
このアームはどんどん速く回転し、弾丸状のロケットを発射します。将来的には時速8,000kmで宇宙へ飛び出すことを目指しているとのこと。その後、ロケットは高度約61kmでエンジンに点火し、時速28,200kmの軌道速度に到達する計画です。
遠心力を利用してモノを宇宙空間に飛ばすSpinLaunchの技術には、懐疑的な意見が少なくありません。これが実現すれば、打ち上げ回数を増やしながら宇宙へのアクセスコストを大幅に削減することができます。
2021年10月22日、SpinLaunchはニューメキシコ州のスペースポートアメリカで、SpinLaunchは自社の加速器を最大出力容量の20%で使用し、約3mの積載物を高度まで投げつける初の垂直試験を実施しました。試験で使用された「サブオービタル質量加速器」の直径は33mであり、設計中の運用システムの3分の1の規模です。
試験の結果は時速1,600km以上で積載物を9km飛ばすことに成功しています。そして、さらなるテストのためにNASAとの契約も獲得しました。CEOのイェニー氏は声明の中で「我々は今日まで9回の飛行試験を成功させ、技術的なリスクを取り除き、フルサイズのシステム構築への道を整えた」と述べています。
SpinLaunchは人工衛星も開発しており、打ち上げ時に発生する強力なGに耐えられるよう設計しています。同社の目標は、2026年までにこのシステムで人工衛星を軌道に乗せることです。現在、SpinLaunchは最初の軌道上打ち上げ場所を最終選定中とのこと。
なお、SpinLaunchが実際に打ち上げテストを行っている動画は、以下から確認することができます。
- Original:https://www.appbank.net/2022/11/03/technology/2303008.php
- Source:AppBank
- Author:テクノロジー記事班