東日本大震災から12年、関東大震災から100年という大きな節目である2023年。今回、防災知識を広めるための取り組みとして、Z世代に人気のSNSアプリ「Snapchat」から日本限定の防災ARレンズ3つがリリースされました。
リリースに先立ち、Snapchatは「災害大国日本におけるSnapchatの取り組み プレス発表会」を3月6日に開催。実際に取材してきたので、イベントとARレンズの体験についてレポートします。
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Z世代に防災知識を広めるSnapchatの新たな取り組み
イベントにはSnapchat代表の長谷川倫也氏と、合同会社ソナエルワークス代表、備え・防災アドバイザーの高荷智也氏が登壇し、今回のARレンズについて、プレゼンテーションとトークセッションを行いました。
日本ではまだ知名度の低いSnapchatですが、世界的には7.5億人超の月間アクティブユーザーがおり、Z世代の間で絶大な人気を誇っています。
同SNSの特徴は、競合SNSと比べよりクローズドで、親友や家族に、気軽に撮影した動画を共有できることが特徴です。「動画は自動的に消えていく」「いいねは無し」など承認欲求を満たす装置を徹底的に排除したつくりなどから、長谷川氏は「ソーシャルメディアの処方箋」だと、プレゼンテーションで述べています。
今回このSnapchatが、備え・防災アドバイザーの高荷智也氏とのパートナーシップにより、新たな防災ARレンズを3つ公開しました。
公開されたのは「消化器の使い方」「AEDの使い方」「洪水シュミレーション」レンズの3つ。
高荷氏は防災情報を広める難しさとして「防災はネガティブな情報に取られやすい」ことを挙げ、そのためにZ世代を始めとした若い世代が「防災に触れない」と述べています。そこで、防災情報を分かりやすく伝えるために作られたのが、これらのARレンズです。
今回はこの3つの防災レンズを試すことができたので、簡単にレビューします。
Snapchat「ARレンズ」の使い方
Snapchatアプリを起動し、右側のスキャンアイコンを押すとQRコードがスキャンできるようになります。この画面で、以下にあるSnapchatの黄色いQRコードをスキャンすると、ARレンズをダウンロードすることが可能です。
「火器の使い方」レンズ
地震による死亡の主な原因の一つが火災です。「消火器の使い方」レンズでは、消火器を使って火災を早期に鎮める方法が、ARで分かりやすく説明されています。
実際に使った画面がこちら。消火器を見つけると、黒いフキダシで行うことの説明が登場します。燃え盛るリアルな炎とそれを消火するモーションも搭載されています。
「AEDの使い方」レンズ
災害や緊急時に必要になるAEDは公共施設やコンビニといった身近な場所にあるものの、「触っていいのか分からない」という人も多い機器です。しかし実際には、フタを開けると音声ガイドが丁寧に案内してくれるため、専門知識がなくても使うことができます。
ARレンズを起動すると、AEDとマネキンが現れ、簡単な操作手順が表示されます。
操作者の手も表示されるため、どのように使えばいいかが分かりやすいのが印象的です。
「洪水シュミレーション」レンズ
地震による津波や洪水などがおきた際には、水位が急上昇し、家に浸水することがあります。その際に「家が浸水するとどうなるのか」をシュミレーションできるのがこのレンズです。
レンズを起動すると水位を操作できるようになっています。ただ、部屋の狭い空間では、高さが間違って表示されることもあるようです。写真では300mmに設定しましたが、画面では部屋が1mほどの高さまで浸水しているようにみえます。
なお長谷川氏は、この洪水シュミレーションについて「ハザードマップを見る機会にしてほしい」とイベントで述べていました。避難時などに焦らないためにも、自分の住む地域や自宅が、災害時にはどのように浸水するのか、どこに逃げればよいのかを把握しておくことが重要です。
Snapchat代表 長谷川倫也氏のコメント
日本は自然災害の影響を受けやすい国であり、そのため防災への投資も大きくなっています。このような状況下において、災害への備えとその対策について認識を広めるため、東日本大震災から12年目を迎えるにあたり、オリジナルの防災レンズを開発しました。
20カ国以上の13-34歳の75%以上にリーチできるプラットフォームとして、私たちは Snapchat世代がより積極的に行動し、正しい情報を得られるよう支援することができます。これはZ世代ユーザーにとって重要な問題について啓蒙したいという企業としての大きな目標の一環を担う取り組みです。
ソナエルワークス代表 高荷智也氏のコメント
大地震・噴火・台風・大雨・豪雪など様々な自然現象が集中する日本。世界有数の災害大国であり、だれもが被災者になる可能性を秘めています。その一方、多発する災害や事故に対する打ち手も進化しており、火災に対応する消火器の整備、急な心肺停止に対応するAEDの普及、また津波や洪水といった生じる場所が決まっている現象はハザードマップを見ることで影響を把握することができます。しかし、これらの防災設備や情報は、活用されなくては意味がなく、とりわけ若年層に対する普及が重要な取り組みであると言えます。
今回のARレンズでは、火災の初期消火において極めて重要な道具である「消火器の使い方」、災害時だけでなく平時においても身につけておきたい「AEDの使い方」、そしてハザードマップとあわせて使うことで水害に対する意識向上を図ることができる「洪水シミュレーション」、こうしたレンズを活用することで、スキルを直接的に学びつつ、防災に対する関心を高める効果が期待されます。このコラボレーションを通じて、Snapchat世代に対する防災情報の拡大に寄与することができれば、大変嬉しく思います。
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- Source:AppBank
- Author:岩佐