2001年、当時GoogleのCEOであったエリック・シュミットは、中国の検索市場に進出し、中国国内のシェアを拡大しようとしました。そして2009年後半には、Googleは中国の検索市場の3分の1以上を支配します。
しかし現在、Googleは中国から撤退しています。Googleと中国の関係にどのような変化があったのかを、海外YouTubeチャンネル「Logically Answered」が解説しています。
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なぜGoogleは中国を諦めたのか?
Googleは2000年当初、インドと中国に進出しようとしていました。インドはオープンな市場のため大きな問題や課題はありませんでした。一方、中国を攻略するには多くの努力を費やす必要がありました。なぜなら中国国内でネットを利用する場合、中国政府に都合の悪い情報を表示することができないなどの制約があったからです。つまり、中国のネットには検閲があるということです。
ただ、中国は「我々の印象を悪くするようなものは見せるな」という基本的なルールさえ守れば、Googleの国内での活動には驚くほど寛容でした。そして、2006年「Google.cn」がスタートします。
しかし、Googleは中国の制約に反し、検閲の回数を減らしただけでなく、検閲されたことをユーザーに伝えるポップアップを表示させたのです。このポップアップを実施する前に、Googleは中国の許可を取っていなかったため、この動きは中国共産党を怒らせる結果になりました。
ところが、中国はGoogleを追い出すことはしませんでした。なぜなら、中国のインターネットの多くは、アメリカのウェブサイトの悪質な模倣品に過ぎなかったからです。Googleは、中国国内で最初に登場したよくできたプラットフォームの1つであり、相当量の知識、資金、才能を持つGoogleを維持することは、中国にとって最善の利益だったのです。要するに、中国でGoogleが許されたのは、中国がGoogleを必要としていたということです。
このように当初Googleは、中国の検閲に対抗できていました。しかし、そんなにうまくいっていたGoogleが、なぜ中国から撤退することになったのでしょうか?
中国は自国の会社でGoogleを超えたいと考えました。そこで2009年半ばから、中国はGoogleだけでなく、アメリカのテック産業の大部分に対して大規模なサイバー攻撃を開始します。ヤフー、アドビ、ジュニパーネットワークス、そしてモルガンスタンレーといった企業もその対象です。そして、重要なソースコードを盗み出しました。
次に中国はGmailをハッキングし始めます。そして、問題のあるメールアドレスの背後にいる「人権活動家」を特定し、排除しようとしました。さすがのGoogleも中国のこのような行動にうんざりしました。
そして2010年1月12日、Googleは「検閲されない検索エンジンを中国で運用することはできません」と表明し、中国から撤退することになります。
ただ、2010年の中国にとってGoogleは重要ではありませんでした。なぜなら、Xiaomi、Tencent、Alibaba、Huawei、Baidu、JD.comといった企業が、数千億ドルどころか数十億ドルの評価額にまで成長していたからです。そして、これらの企業はGoogleとは異なり、中国が設定したどんなルールにも従いました。
ラリー・ペイジがCEOを務めていた頃、Googleは中国からの撤退を撤回する気はありませんでした。しかし、CEOにサンダー・ピチャイが就任すると状況は一変します。ピチャイは、常に株主を喜ばせなければならないというプレッシャーを抱えていました。そして、彼の視点からすると、成長を続けるための最も簡単な方法は、中国市場を攻めることでした。
そこでピチャイは、まず中国の開発者にアピールすることから始めます。実際、彼は2016年末に中国で開発者会議を開催し、そこで中国特有の開発ツールを大量に発表しています。しかし、彼はこれだけでは満足しませんでした。
彼が本当に望んでいたのは、Google検索を中国に戻すことだったのです。しかし、中国はもうGoogleを必要としていません。そのため、Googleは中国を説得する必要がありました。そこで「ドラゴンフライ・プロジェクト」を実施することになります。このプロジェクトは、検索履歴、位置情報、その他の個人データを収集し、そのすべてを中国企業と共有するというものです。
しかし、このことがメディアに漏れると、Googleは世間からの反発を受けるだけでなく、社内からも多くの抗議が寄せられました。その結果、わずか数カ月でプロジェクトを終了します。この出来事以降、ピチャイは中国に関してトーンを変え、同社が中国で再出発する計画はないことを明らかにしています。
結局のところ中国は、大規模な消費市場という魅力でGoogleを誘い込み、重要なソースコードなどをまんまと盗みました。そして、用済みとなったGoogleを追い出したのです。
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- Source:AppBank
- Author:テクノロジー記事班