「デジャヴ」とは、過去に経験したことがないのに、すでにどこかで経験したことのように感じる現象です。一方、デジャヴの反対にあるのが「ジャメヴ」というものです。聞き慣れない言葉ですが、「ジャメヴ」についての研究は2023年イグ・ノーベル文学賞を受賞しています。一体どのようなものなのでしょうか。海外メディア「the conversation」が詳しく解説しています。
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見慣れたものが非現実的に感じる「ジャメヴ」現象
「ジャメヴ」とは見慣れたものが非現実的に感じられたり、何か新しいものに感じられたりすることです。例えば、試験で文字を書いているとき、”食欲 “という字を正しく書いたのに、間違っているように感じ、何度もその文字を見返す、というようなものです。日常生活では、反復や凝視によって引き起こされることがあるようです。
グルノーブルアルプ大学(UGA)認知神経心理学教授クリストファー・ムーラン氏やセントアンドリュース大学心理学上級講師のアキラ・オコナー氏によって、 94人の大学生を対象に、ジャメヴが発生するかどうかの実験が行われました。「door(ドア)」のような一般的な単語から、「sward(芝生)」のような普段あまり使わないようなものまで、12種類の単語を繰り返し書いてもらうというものです。
参加者にはできるだけ早く書き写してもらい、奇妙な感じがしたり、手が痛くなったなど、何らかの理由で止めてもいいこととしました。すると約70%が「奇妙に感じ始めたから」というジャメヴと定義した理由で止めたのです。これは通常、馴染みのある単語に対して発生し、約1分後(33回の繰り返し後)に起こることが一般的でした。そして次の実験では、「the」という単語で行いました。すると、55%の人が、ジャメヴを理由に中断しました(27回の繰り返し後)。被験者からは、「見れば見るほど意味がわからなくなる」、「手のコントロールが効かなくなるように感じる」というものまで様々な理由が述べられました。
研究者たちは、「単語を繰り返し書いていると、人は奇妙な感覚を覚える」という直感に基づいて研究を始めたと言います。そして繰り返しにおける意味の変容と喪失は、ジャメヴという特別な感覚を伴うという考えに至ったとのこと。ジャメヴは、何かがあまりにも自動化され、流暢になり、繰り返されるようになったことを知らせるシグナルなのです。これは、私たちが現在の処理から「抜け出す」のを助けてくれるものであり、非現実的な感覚は実際には現実を確認するものでもあるのです。これは理にかなっています。私たちの認知システムは柔軟性を保たなければならず、反復作業に長く没頭するのではなく、ジャメヴが起こることで必要なところに注意を向けることができます。
ジャメヴはまだ理解され始めたばかりです。研究者たちは「私たちのジャメヴに関する研究が、近い将来、より多くの研究とさらなる洞察のきっかけとなることを願っています。」と述べています。
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- Author:記事班02テクノロジー