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AIデータ社と国立情報学研究所、フェイク映像検出AI「SYNTHETIQ VISION」の実証検証を開始

AIデータ社とNIIによる偽動画検出技術SYNTHETIQ VISIONのメインビジュアル

 AIデータ株式会社は12月23日、国立情報学研究所(NII)が開発したフェイク映像検出AI技術「SYNTHETIQ VISION」を活用し、AIフェイク映像検出の実現可能性に関する検証を開始したと発表しました。

見るだけでは判断できない時代へ

 生成AIの進化により、人間の顔・声・表情・動作を限りなくリアルに模倣したフェイク映像が増加しています。SNSや動画サイト上での誤情報拡散、なりすまし、児童を巻き込む被害、詐欺事件などが社会課題として取り上げられており、従来の「目視による判断」だけでは限界があるのが現状です。

 こうした状況の中で、映像の真偽を技術的に検証する仕組みの整備が求められています。

SYNTHETIQ VISIONの技術的特徴

 SYNTHETIQ VISIONは、国立情報学研究所が研究開発を進めているフェイク映像検出AI技術です。公表されている情報に基づく技術的な特徴は以下の通りです。

 AIが映像内の微細な”合成痕跡”を解析し、真偽の可能性を評価することを目指した設計となっています。圧縮・加工後の映像に対しても、検出性能の維持を志向したモデル構成となっており、判定結果をスコア化し、関連ログを保存することで、後からの再検証や監査での活用を想定しています。

 さらに自動処理・即時応答によって、初動対応を支援し得るアーキテクチャを備えています。

AIデータ社による検証の観点

 AIデータ社では、SYNTHETIQ VISIONを用いて以下の観点から実務で使える仕組みとなり得るかを検証しています。

 どの程度フェイク映像の検出に寄与し得るか、既存の確認プロセス(目視チェック、不正検知システムなど)とどのように組み合わせるべきか、証拠性や説明責任を意識したログ管理をどう設計すべきかといった点から、実証・評価を進めています。

社会実装を想定した対象領域

 本技術は、将来的な社会実装を見据え、複数の領域での活用可能性があるとAIデータ社は考えており、ユースケースの検討を進めています。

捜査機関での活用

 児童を使ったフェイクポルノや誹謗中傷動画など、深刻な人権侵害につながる映像について、フェイクの疑いをスクリーニングし、通報対応・被害整理を支援し得るかを検討しています。

eKYC/金融業界での活用

 AI生成顔や録画映像を用いたなりすまし口座開設等に対し、既存の本人確認プロセスと組み合わせてリスク評価を行う仕組みへの応用可能性を評価しています。

SNS/映像配信プラットフォームでの活用

 ユーザー投稿映像のスクリーニングや、ブランド毀損や偽情報拡散のリスク低減に向けて、通報対応や社内判断の参考情報として活用し得るかを検証しています。

教育/自治体での活用

 教育現場におけるいじめ動画、フェイク教材などについて、自治体や学校の相談窓口での一次確認・初動対応の支援ツールになり得るかを検討しています。

提供方式の候補と検証方針

 社会実装を支えるための提供方式について、AIデータ社は現時点で以下のような形態を”候補”として検討・評価しています。いずれも、提供開始を約束するものではなく、実証段階での検討対象です。

SaaS型

 Web上から動画をアップロードし、フェイクの疑いに関するスコアやログを確認できる仕組みについて、ユーザビリティ・処理性能・セキュリティ等の観点から検証が進められています。

API型

 既存のeKYCシステムや業務プラットフォームと連携し、自動判定を組み込むAPIインターフェースについて、スループット・認証方式・ログ連携などが評価されています。

OEM提供

 フェイク映像対策ソリューションの一部として、他社ブランド内に組み込む形での提供モデル(OEM/再販)について、ビジネススキームやサポート体制を含め検討されています。

セキュア版

 自治体・捜査機関など、閉域網での運用を前提としたパッケージ提供の可能性について、インフラ要件や運用負荷を踏まえて評価されています。

今後の展開

 SYNTHETIQ VISIONは、単なる個別の技術ではなく、AI時代における「映像の信頼性」を支える社会インフラの一要素になり得るとAIデータ社は考えています。

 同社は実務に即した検証・PoCの実施、官民・研究機関との連携による運用モデル・ルール形成への貢献、自社のデータ復旧・デジタルフォレンジック事業との連携による一貫した調査・証拠保全支援の検討などを通じて、「フェイク映像を見抜き、被害を抑止するための仕組み」の実装を目指すとしています。

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