
株式会社ALL CONNECTは6月12日、同社が運営するメディア「オールコネクトマガジン」の監修を務める荒木孝博さん(株式会社Adeval代表取締役)による通信実地検証連載「WiFi片手に、日本をめぐる。〜令和の伊能忠敬プロジェクト〜」の開始を発表しました。
第1回として、鹿児島県・種子島の離島環境でStarlink(衛星)・楽天モバイル・WiMAX(2機種)の計4回線を、同一地点・同一時刻で同時計測した結果が公開されています。
「令和の伊能忠敬プロジェクト」とは
本連載は、各キャリアやサービスが公表する「人口カバー率99%超」「空が見えればどこでもつながる」といった案内では見えてこない「現場の正直な数字」を明らかにすることを目的としています。
江戸時代に自らの足で日本全国を歩き実測した伊能忠敬の精神になぞらえ、旅行・通信の両業界を実務で横断してきた荒木孝博さんが、通信機材を携えて全国を巡るプロジェクトです。理論値や公称値ではなく、実際にその場所に立って測るという姿勢を貫いています。
第1回・種子島編の調査概要
調査は2026年5月22日(金)に実施されました。場所は鹿児島県・種子島(西之表市〜南種子町)の6スポットで、市街地の鉄砲館、鉄浜海岸、JAXAロケット前、門倉岬、竹崎漁港観望台、千座の岩屋(洞窟内)が対象となっています。
計測に使用した回線・端末は以下の4つです。
- 楽天モバイル eSIM
- SpaceX Starlink
- WiMAX端末「HYBRID Wi-Fi 5G NC03」
- WiMAX端末「Speed Wi-Fi DOCK 5G 01」
全スポットで同一の4回線を同時に持ち込み、同じ場所・同じ時間に並べて計測する方法が採られました。
全スポット計測結果
各スポットでのダウンロード速度/アップロード速度(単位:Mbps)は以下のとおりです。
| スポット | Starlink | 楽天モバイル | NC03 | DOCK |
|---|---|---|---|---|
| 鉄砲館 | 287.78 / 10.81 | 252.30 / 49.08(5G) | 11.62 / 1.10 | 6.76 / 0.09 |
| 鉄浜海岸 | 48.33 / 35.60 | 15.51 / 1.86 | 圏外 | 圏外 |
| JAXAロケット前 | 164.19 / 15.04 | 52.34 / 5.63 | 圏外 | 圏外 |
| 門倉岬 | 86.62 / 10.95 | 31.13 / 7.46 | 圏外 | 圏外 |
| 竹崎漁港観望 | 252.38 / 15.19 | 91.05 / 7.49 | 圏外 | 圏外 |
| 千座の岩屋(洞窟内) | 圏外 | 2.16 / 0.25 | 圏外 | 圏外 |
主要な調査結果
WiMAX系は離島の屋外では基本的に圏外
市街地の鉄砲館ではNC03が11.62Mbpsを記録したものの、海岸・岬・展望台では2機種ともほぼ全滅という結果でした。これは機器の優劣ではなく「都市部の人口密集地に最適化されたサービス特性」によるものとされており、本土・市街地での補助回線としては依然有効と評価されています。
楽天モバイルが全スポットで健闘
今回最も評価が改まったのが楽天モバイルです。市街地(鉄砲館)では5G接続で252.30Mbpsを記録し、Starlinkに迫る速度を発揮しました。
市街地を離れた竹崎漁港観望台でもLTEで91.05Mbpsと高速を維持しています。さらに、空が遮られStarlinkもWiMAXも全滅した千座の岩屋(海食洞)の洞窟内で、4回線中ただ一つ通信を維持(2.16Mbps)し、LINE連絡や位置共有に足る水準を確保したことが大きな注目点となっています。
6スポットすべてで「圏外ゼロ」を記録したのは楽天モバイルだけだったということです。「離島だから楽天は圏外」というかつてのイメージは、エリア拡大の積み重ねによって塗り替えられつつあることが、現場の数字で示されました。
Starlinkは「空さえあれば最強」、ただし携帯性には課題
海岸・岬・JAXAロケット前など屋外では最大287.78Mbpsを安定記録しています。一方で、アンテナのかさばりと「空が見える屋外でしか使えない」という制約があり、キャンプ・取材・ワーケーション・災害対策など「開けた場所に腰を据えて使う」用途が現実的だということです。
用途別の使い分け指針(第1回・暫定版)
今回の結果を踏まえた暫定的な使い分けの考え方は以下のとおりです。
- 移動中・歩き回るとき → 楽天モバイル:iPhone1台で完結し、離島の屋外でも実用速度を確保。洞窟内でも唯一つながり、緊急時の「最後の砦」にもなり得る。
- 宿や拠点でじっくり仕事するとき → Starlink:空が開けた場所なら100Mbps超を安定して記録。腰を据えた利用に向く。
- 本土・市街地での補助回線 → WiMAX:人口密集地に最適化された特性を活かせる場面でこそ真価を発揮。
なお、これはあくまで「離島・圏外環境」での暫定指針です。都市部では前提が変わる可能性があり、第2回(大阪編)以降、同じ4台で「混雑環境でも通信は落ちないか」を主題に検証が続けられる予定です。
荒木孝博さんのコメント
荒木孝博さんは今回の結果について次のようにコメントしています。
「離島では『携帯が圏外でも、空さえ見えれば衛星がある』と考えがちです。ですが洞窟という”空のない場所”では、衛星が真っ先に脱落し、最後まで残ったのは楽天モバイルでした。」\n\n「衛星にも明確な前提条件があり、地上の携帯回線が”最後の砦”になり得ます。これからの移動には『高速回線』だけでなく『繋がる回線』という発想が欠かせません。」\n\n「現地に行かないと確かめられないことを、これからも自分の足で測り続けます。」
詳細レポートはnoteで公開中
洞窟内で4台が一斉に圏外表示になる中、楽天モバイル1台だけが生き残った瞬間の実物写真や、JAXAロケット展示前で衛星アンテナを広げる現場カット、端末ごとの詳細な計測画面などを含む写真付きフルレポートがnoteで公開されています。
- 詳細レポート(note):https://note.com/takahiro_araki/n/n7422e02513f6
- オールコネクトマガジン:https://all-connect.co.jp/magazine/
- Original:https://www.appbank.net/2026/06/14/iphone-news/3024800.php
- Source:AppBank
- Author:Appbank編集部