
登山地図アプリ『ヤマレコ』は7月18日、同アプリにおいて、山岳遭難時に救助要請できる新機能「緊急SOS」機能をリリースしたと発表しました。
この機能では、選択肢に答えるだけで現在地やケガの有無など救助に必要な情報を家族や友人に即時送信できます。KDDIが提供する衛星通信サービス「au Starlink Direct」に対応し、携帯電話の電波が届かない山間部など圏外エリアからでもメッセージ送信が可能になります。同社によると、この機能により救助までの時間短縮と遭難者の生存率向上が期待されるとのことです。
遭難発見まで数日かかる課題を解決
従来の山岳遭難では、本人と連絡が取れない状態が続き、家族や職場の人が下山していないことに気づいて110番通報されるケースが多く、遭難に気づかれるまで数時間から数日かかることが珍しくありませんでした。また警察や消防も、本人からの情報が得られないため現場状況の正確な把握が困難で、救助活動の初動に時間を要していました。
ヤマレコは5月30日にKDDIと共同で「au Starlink Direct」を活用した実証実験に成功しており、その成果を踏まえて今回の機能開発に至ったとしています。
簡単操作で詳細な遭難情報を送信

「緊急SOS」機能は、ヤマレコアプリ内の「登山する」タブから「登山開始」後のメニューよりアクセスできます。画面に表示される質問や選択肢に答えるだけで、ケガの状態、現場の天気、服の色、持っている装備などを入力できる仕組みです。
送信方法は3つ用意されており、電波が通じる場合は110番通報前に状況を整理して正確な情報を伝えることが可能です。また登山者見守りアプリ「いまココ」への通知では、通信圏内なら携帯ネットワークで、圏外でも衛星通信を利用してSOSメッセージを送信します。電波が通じる環境では、LINEなど一般的なメッセージアプリでも緊急SOSメッセージを共有できます。
受信側では、現在地やケガの状態などが正確に記録された情報が「いまココ」アプリを通じて届き、その情報を受け取った家族や友人が警察・消防に伝えることで迅速な救助につながるとされます。
有料・無料会員問わず利用可能、注意点も
この機能はヤマレコプレミアム会員(有料会員)、スタンダード会員(無料会員)のどちらでも利用できます。ただし事前にヤマレコアプリの更新(iOS版バージョン7.45以降、Android版バージョン8.6.5以降)が必要で、位置情報をONにし機内モードを解除する必要があります。
なお、本機能は救助要請そのものではなく、メッセージを受け取った人が警察へ通報することを想定しています。SOSメッセージは1週間経過すると自動的に表示されなくなり、衛星通信利用には別途「au Starlink Direct」の契約が必要です。


同社は日本国内の登山地図アプリにおいて、電波の届かない山間部の圏外エリアから衛星通信を用いて現在地や遭難状況などの情報を含むメッセージを送信できる機能として日本初としています(2025年7月時点、同社調べ)。
7月18日18時には機能紹介動画も公開予定となっています。
機能紹介動画
- Original:https://www.appbank.net/2025/07/21/iphone-application/2791302.php
- Source:AppBank
- Author:はねせがわ
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