最高値3000ドル突破の仮想通貨「イーサリアム」が日本的ホワイトカラーを駆逐する理由



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仮想通貨(暗号資産)のイーサが5月3日(2021年)に過去最高値を更新し、3000ドル(320
8万円)を突破しました。背景にはイーサリアムのブロックチェーン・エコシステムを利用して欧州投資銀行が「デジタル債」発行の準備を進めているという報道があります。


イーサ(ETH)はビットコインに次いで、時価総額が2番目に高い仮想通貨です。「イーサリアム」はスマートコントラクトと呼ばれる「プログラムに基づいた自動決済・承認・契約機能を備えたサービス」をブロックチェーン上に実装できる点が特徴で、そこに巨大なエコシステムが形成されています。


また、この仕組み上にはDeFi(読み:ディファイ、意味:分散型金融、Decentralized Finance)やNFT(読み:NFT、意味:非代替性トークン、Non Fungible Token)といった金融、デジタル資産売買の仕組みが構築可能です。

これまで、銀行やクレジットカード会社、ECサイトなど“中央集権”な仕組みの中でしかデジタル取引は成立しませんでしたが、イーサリアムはそれを根本的にくつがえす可能性がある技術なのです。イーサそのものは仮想通貨として投資や投機の対象でもありますが、エコシステム全体を見れば金融やデジタル取引に革命を起こすプラットフォームとしての役割を担っているということがわかります。

こうしたことから、イーサは大きく値上がりしていますが……本当の衝撃は「値段(プライス)」だけに留まるものではないのです。。


事務処理不要の時代が来る

こうした特徴から、イーサリアムのブロックチェーン上で開発されたスマートコントラクトのプログラムは人手を介さず自動で複雑な取引を行えるという強みがあります。

一例として「口座を開き、預金をして、利子を受け取る」という流れを一般的な銀行で行なおうとする場合、いくつもの煩雑な手続きが必要になります。日本ではハンコが要る場面があるかもしれません。一方で、イーサリアムエコシステムを利用して開発された「ウェブ3ウォレット」とDeFiの仕組みを利用すれば、スマホやPC1台だけを使って、ものの数分で、どこに居ても同じことができます。

こういった特徴は、ユーザーにとっては極めて便利でサービス提供者にとってもコストダウンにつながるというメリットがあります。けれども、同時に「事務処理担当者を雇う必要がなくなる」という複雑な状況を発生させます。


こうした状況で真っ先にその役割が不要になるのは、事務処理や決済処理などのホワイトカラーの仕事です。現状では、大半の金融機関にブロックチェーンが導入されていないことから、こういった人々の仕事は安泰に思えます。けれども、スマートコントラクトの波が押し寄せれば、金融や会計、契約などにおける単純作業は瞬く間に“人間がやる仕事”ではなくなってしまうのです。

マニュアル通りに、決められたことを、間違えずに、淡々とこなす、という日本人ホワイトカラーが得意とする仕事の多くは“プログラムの仕事”となる日は目前でなのです。そのような流れに「いやいや、一見かんたんな事務処理に見えても、部署間のすり合わせがだねぇ……」と言って対抗しても、先に新しい技術に適応した会社や国にごぼう抜きされていく現実の前には無力でしょう。

幸いにも、イーサリアムは開かれたプラットフォームであり、そこで開発が進むサービスは誰もが利用できるものです。「コインチェック」などの仮想通貨取引所を利用すれば、スマホだけでイーサを購入することもできます。

けれども「たかが仮想通貨」と侮っていたならば、自分の仕事が奪われていたという事態に陥りかねません。足元の現実や旧態依然とした組織の慣習に囚われず、未来に照準をあわせた行動しなければ生き残れない時代に私たちは生きているのです。


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