イーロン・マスクが目指す、火星のテラフォーミング。しかし、火星の大気を変化させて人類が住めるようにするという計画には、倫理的な疑問もつきまといます。
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人類が生き残るためには「火星開拓」は必要なのか?
そもそも、人類は自分たちのニーズに合わせて惑星全体を改変する権利を持っているのかという疑問があります。ただ、私たちが知る限り、火星に生物はいません。
もし、火星の地下に微生物や火星人が住んでいることがわかったら、すべてが変わってしまうでしょう。
NASAは、地球の微生物を惑星に持ち込ませないように、惑星に着陸するロケットなどを徹底的に殺菌しています。
ある種のバクテリアなどの極限環境生物は、最も過酷な条件下でも生き延びることができます。つまり、適切な処置をすれば、火星で繁栄させることも可能だということです。
しかし、もし火星にまだ発見されていない微生物がすでに生息していた場合、その環境を地球人が変えてしまってもいいのでしょうか。また、火星に生物がいなかったとしても、地球人が火星に対して核爆発や小惑星をぶつけていいのでしょうか。
これらは、テラフォーミングを計画する際に考慮しなければならない問題です。
ただ、今の地球の状況では、選択の余地はないかもしれません。なぜなら、今のまま「資源の過剰消費」と「環境破壊」を継続すると、いずれ人類は他の星に移住しなければならなくなるからです。
また「卵を1つのカゴに入れる」という議論もあります。
例えば、ガンマ線バーストによって地球の大気が宇宙空間に吹き飛ばされたり、巨大な小惑星の衝突によって地球上のすべての生物が絶滅したりするようなことがあれば、人類も例外なく被害を受けます。
今のところ、人類にはバックアッププランがありません。そのため、火星のテラフォーミングは良いアイデアというだけではなく、人類が存続するために必要なことだと言えます。しかし、それを実現するための技術がまだありません。
火星を核で爆破してもテラフォーミングはできないため、その考えは捨てた方がいいでしょう。イーロン・マスクが何と言おうとも、火星のテラフォーミングは現在の技術では不可能なのです。
火星をテラフォーミングするためには、前回解説した「磁気シールド」「巨大な鏡」「温室効果ガスを大気中に送り込む方法」などを組み合わせて行うことになるでしょう。
小惑星とその資源は、火星のテラフォーミングだけではなく、宇宙開発全般の未来にとっても非常に重要です。これらの夢を実現する唯一の方法は、人類が科学に耳を傾け、比喩的にも文字通りの意味でも、星を狙い続けることなのです。
人類を初めて月面に着陸させたアポロ計画以来、宇宙探査への関心はかなり落ちています。ただ、イーロン・マスクをはじめとする民間宇宙企業が、宇宙旅行への関心を再び高めてくれているのです。火星のテラフォーミングを成功させるために一番重要なのは、科学ミッションと技術研究に資金を提供し続けることだといっていいでしょう。
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