64年間変わっていない「レゴブロック」が生き残っている理由




レゴブロックは「くっつけたり外せたりする」ことを特徴としたシンプルなおもちゃです。レゴは同じ形状で60年近くもの間親しまれてきましたが、メーカーであるレゴ・グループは多くの失敗と成功を経験してきました。

レゴ・グループが今までに乗り越えてきた困難と、今でもレゴブロックが愛され続けている理由について、海外YouTubeチャンネル「PolyMatter」が解説しています。




*Category:テクノロジー Technology|*Source:PolyMatter,wikipedia

レゴブロックの革新的なアイディアとは?


1934年に創業されたレゴ・グループは、今までに驚くほど多くの浮き沈みを経験してきました。それは、ブロックを売るということが、それほど簡単なことではないという証拠です。

レゴブロックは、たった6個のブロックを、9億1,500万通りの方法で組み合わせることができます。レゴグループの仕事は、どの組み合わせが子どもたちを最も興奮させ、最終的に最も利益を生むかを見極めることです。

レゴブロックは、今では当たり前の発明に見えるかもしれませんが、かつては当たり前のものでも、簡単に作れるものでもありませんでした。当時、高級玩具といえば木製のものばかりで、プラスチック製のレゴブロックはその常識を覆すものだったのです。レゴ・グループは、安く、親しみやすいおもちゃを作ろうとしたのです。しかし、プラスチックの採用も一筋縄ではいかなかったそうです。

なぜなら、当初のレゴブロックには、意図的に離すまでくっついている「スティッキング」機構がなく、指一本でどんな作品でも壊してしまう可能性があったからです。

そして、様々な素材を何年にもわたって実験した結果、1958年に今のモデルに辿り着き、1963年に現在と同じABS樹脂に切り替えました。この60年近く前のレゴブロックは、今日製造されたレゴブロックと結合することができます。

レゴブロックの2つ目の革命的なアイデアは、「レゴ・システム・オブ・プレイ」と呼ばれるものです。これは、すべてのセットが同じ基本ブロックから構成され、それらを組み合わせることでより壮大なものを作り出すことができるというものです。

このアイデアによってレゴブロックは長い間、利用されるようになったのです。レゴ・グループは、他の企業と同じように、消費者に愛されるブランドを持つだけではなく、エコシステムにも投資するようになりました。もし、子どもの初めてのブロックがレゴブロックであった場合、その子はレゴブロックの家庭で暮らし続けることになります。そして、より多くのブロックを購入することで、より多くの価値を得ることができるのです。

この2つの柱を軸に、レゴ・グループは今のような世界的なセンセーションを巻き起こす企業になりました。

2013年時点で、レゴミニフィギュアであるミニフィグは44億体、レゴブロックは地球人一人当たり80個、タイヤは年間3億個生産されており、ミシュランやグッドイヤーを上回る最大のタイヤ生産企業となっています。しかし、すべてが順風満帆だったわけではありません。

「スター・ウォーズ」「マインクラフト」などのライセンス・ブランド・テーマで知られる今のレゴになるまでには、多くの誤算や挑戦がありました。

1980年代末、レゴブロックの中核となる特許の最後の期限が切れ、長年にわたって独占してきた連結式の組み立て式ブロック玩具が終了しました。そして、最初の問題が表面化したのです。これまで何十年も利益を上げてきたレゴ・グループですが、このとき初めて、単なる製品としてではなく、企業として試されたのです。

特許の有効期間中、レゴ・グループは創業者の素晴らしいアイデアとデザインに支えられ、他社は同じ市場で販売することができませんでした。そのため、親や子供たちからの意見・提案が歓迎されない風土があり、競争から隔離されていました。

デザイナーも、Appleと同じように「自分たちは需要を創造できる、追いかける必要はない」という考えを持っていました。

しかし、1988年、状況は一変します。どこの玩具メーカーでも、レゴブロックのような色鮮やかなテーマ別のおもちゃを販売できるようになったのです。

当初、レゴ・グループは、メガブロック、オックスフォード・ブリックなどの競合他社の類似製品のデザインが、商標権を侵害しているとして訴えました。そして、この訴えが認められないと分かると、レゴ・グループは別のアプローチをとります。

レゴ・グループは、あらゆるテーマ、セット、キャラクターを世に送り出し、何が定着するかを見極めることにしたのです。1994年から98年の間に、レゴ・グループは生産する玩具の数を3倍に増やし、毎年少なくとも5つの新しいテーマを導入しました。

その中で成功した新テーマは、非常に素晴らしいものです。レゴ・バイオニクルズは、ロボット同士の戦いの物語をベースにし、ビジュアルも暗く、使用されているパーツも全く異なります。しかし、子供たちはこれを気に入りました。

わずか数年後には、アメリカの6歳から12歳の男子の85%がレゴブロックを知っていると答え、45%が少なくとも1つを所有していました。そして、このキャラクターを題材にした書籍は40冊以上出版されました。

なんとか、バイオニクルズの人気で会社を存続させることはできましたが、これは失敗の山の上にある1つの成功に過ぎません。

例えば「ジャック・ストーン」と呼ばれる、新しいアニメシリーズに基づいたリアルなキャラクターのレゴブロックや、「ガリドール」という何百万ドルもかけて制作した実写版SFシリーズは、人気が出ませんでした。

レゴ・グループは、2003年までに何かを変える必要がありました。なぜなら、同社は8億ドル(約1,000億円)の負債を抱え、売上は30%減少し、毎日33万7000ドル(約4,000万円)の損失を出し、倒産の危機に瀕していたからです。さらに悪いことに、同社はその原因をよく分かっていなかったのです。





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