人類が持つすべての「核兵器」を一度に爆発させると、どれほど悲惨なことになるのか?




現在、地球上には15,000個の「核兵器」が存在します。

もし、この核兵器を1ヵ所で同時に爆発させると、世界はどうなってしまうのでしょうか?海外YouTubeチャンネル「Kurzgesagt – In a Nutshell」がシミュレーションを行っています。




*Category:テクノロジー Technology|*Source:Kurzgesagt – In a Nutshell,wikipedia

世界中の核兵器を爆発させるとどうなるのか?


今、世界にある核兵器はいったいどれほどの破壊力をもっているのでしょうか。地球上には、人口10万人以上の都市や市街地が約4,500カ所あります。その中には大きな都市もあるため、1つの都市を完全に破壊するには、平均して3個の核兵器が必要だと仮定します。

つまり、現在ある核兵器は地球上のすべての都市を破壊し、人口の約半分である30億人以上を一瞬で殺せるということです。そして、それだけの被害を与えても、まだ1,500個の核兵器が余ることになります。

では、もし15,000個の核兵器をアマゾンの熱帯雨林の真ん中で爆発させたらどうなるのでしょうか。無造作に積み上げられた核兵器は、倉庫に収まる程度です。

そしてアメリカの核兵器の威力はTNT火薬20万トンに相当します。つまり、15,000個の核兵器は30億トンのTNTに相当するということです。このエネルギーに最も近いのは、火山です。

1883年にクラカトア島で起きた噴火は、歴史上最も大きなものでした。この噴火は非常に強力で、島の70%と周辺の群島が破壊され、何万人もの人々が命を落としました。その影響は、噴火後数日間にわたって世界中に及びました。


15,000個の核兵器の山はクラカトア火山噴火の15倍のエネルギーです。

このとてつもない威力を持つ爆弾を一斉に爆発させると、一瞬にして50㎞の火球が周囲のものを蒸発させ、3千平方㎞の森林を平らにする爆風が発生します。そして、250㎞以内の生物はすべて燃えてしまうでしょう。

衝撃波は数週間かけて地球を何十周もし、爆発音は世界中に聞こえるでしょう。爆発に伴って、何百万トンもの焼却物が大気圏に飛び出し、きのこ雲は成層圏の外まで達します。


爆発が落ち着いても、地球は数千年に一度の大火災に見舞われます。火災は、南アメリカ全域に広がり、森林や都市を焼き尽くします。そして爆心地には、約10㎞のクレーターが残ります。

被害はこれだけではありません。非常に高い放射性物質が生物をあっという間に殺し、クレーターの周囲数㎞の広大な地域と、風下にある数百㎞の地域が居住不可能な状態になります。

放射性降下物の多くは、きのこ雲によって大気圏上空に運ばれ、地球上を駆け巡るはずです。そして、地球の放射性物質の量は世界中で2倍になります。この放射性物質で文明が終わることはありませんが、しばらくの間は癌が増えるかもしれません。

飛び散った粒子の一部は何年にもわたって太陽光を遮ります。その結果、核の冬を引き起こし、数年間は地球の気温を数度下げる可能性があります。

これは、実際に核戦争が起こった場合にも想定されていることです。以前の記事では核戦争が起こった場合のシュミレーションも行っています。

この爆発は、南アメリカ、特にブラジルにいる人にかなりの被害を与えます。なぜなら、アマゾンの熱帯雨林が燃え去ってしまうからです。しかし、それでも全ての人類が絶滅することはないはずです。


では、もっと多くの核兵器を爆発させたらどうでしょう。現在、地殻には約3,500万トンのウランがあると推定されています。この量は、数百万個の核兵器を作るのにも十分な量です。

例えば、そのウランを使って広島型原爆100億個分の核兵器を作ったとします。その核兵器を積み上げると高さは3㎞に達します。そして、威力は6500万年前に恐竜の時代を終わらせた小惑星衝突のエネルギーとほぼ同じになります。

それでは、これを爆発させてみましょう。爆発すると、南アメリカの半分から見えるほどの巨大な火球が発生します。そして、地面が水のように飛び散り、100㎞のクレーターを形成します。

さらに、山脈の岩盤が一瞬にして蒸発し、何千トンもの物質が宇宙空間に放出されます。一部は永遠に地球を離れ、大部分は高温の燃えカスとして降り注ぎます。その結果、大気をオーブンのように熱し、ほとんどの大型動物が死に、世界中を火の嵐にするでしょう。


地殻は鐘のように鳴り響き、観測史上最も強い地震が世界中の都市を破壊します。また、ハリケーン級の強風が南米の木を一本残らずなぎ倒し、森林火災が大陸を焼き尽くします。

アマゾンの大量の植物は燃えて灰となり、大気中に放出されます。そして灰は空を覆い、地表に太陽光が届かなくなります。そうなると、世界中の気温が氷点下まで下がります。

その結果、極寒の冬が数十年続き、すべての大型動物が絶滅します。さらに、地球の隅々まで放射性降下物で覆われます。この事態は、人類を滅亡へと導くでしょう。

国際宇宙ステーションも、軌道上に吹き出す岩石によって破壊される可能性があります。

また、地下シェルターや海面下の潜水艦にいた人は、食料を使い果たすまでは生き延びることができるかもしれません。しかし、世界は焼け焦げ、凍りつき、放射能に汚染された荒れ地と化します。

ただ、地球そのものに与える影響はごくわずかです。わずか数百万年で爆発の傷は癒え、生命が誕生し、むしろ人類が存在したときよりも繁栄するかもしれません。




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