第一次世界大戦に登場し、第二次世界大戦では中心となった「戦車」は、現代戦でも歩兵に対する脅威としてのイメージが強くあります。しかし現実には、現代戦において戦車はすでに「時代遅れのモノ」となりつつあるのです。この理由について、海外YouTubeチャンネル「Not What You Think」が解説しています。
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戦車を時代遅れにする最新の対戦車兵器
第一次世界大戦で戦車が登場するとすぐに、戦車の厚い装甲を貫通する兵器の開発が始まりました。当初は、金属弾の運動エネルギーを利用した対戦車ライフル銃で戦車を攻撃していましたが、戦車も身を守るためにより分厚い装甲に変化していきました。そして、その戦車の防御を突破するために、対戦車砲も変化を繰り返します。
この一進一退の攻防の結果、対戦車砲はどんどん大きく重くなり、車輪を付けて牽引しなければならず、徒歩で移動する歩兵には使い物にならなくなってしまったのです。陸軍は人間が持ち運べる対戦車兵器を開発する必要に迫られました。
そして、第二次世界大戦になると、ソ連はRPG-43という携帯型対戦車擲弾筒を開発しました。RPG-43は厚い装甲を貫通することができますが、まだ、大きな問題があります。この兵器は約1.3kgの手投げ榴弾のため、兵士は攻撃するために戦車に危険なほど近づかなければならなかったのです。
そこでソ連は遠距離から攻撃できる、アメリカのバズーカ砲とドイツのパンツァーファウストを掛け合わせたような武器を製造しました。その兵器がRPG-7です。この兵器によって遠くから攻撃できるようになりました。
対戦車用の爆弾はどのようにして、分厚い装甲を破壊することができるのでしょうか?
RPG弾は、成形弾薬と呼ばれる特殊なタイプに該当します。手で投げるタイプのRPG-43も、ロケット弾のタイプも、内部に円錐形の空洞を形成する金属製のライナーがあり、この奥に火薬が詰まっています。そして、ターゲットに接触すると、爆薬が爆発し、金属製ライナーの後ろに圧力が発生します。これがライナーを変形させ、金属粒子の集中ジェットが発生し、極超音速でまっすぐ飛び出すのです。装甲を貫通するのは、起爆の衝撃ではなく、噴流の運動エネルギーです。
ただ、この極超音速弾にも弱点があります。2017年、フィリピンのマラウィは5カ月にわたって戦場となり、政府治安部隊は多くの過激派組織と戦っていました。過激派はRPG-2という、最新戦車の破壊には不向きな旧型の武器を持っていましたが、政府軍の装甲の薄い人員輸送車を破壊するほどの威力を持っていました。予想外の脅威に直面した治安部隊は、即興で対応せざるを得なくなりました。
そこで、治安部隊は装甲の薄い車両を木の板で覆い、さらに段ボールで包んだのです。木材や段ボールは、極超音速の金属噴流を止めることはできませんが、その効果を弱めることができます。なぜなら、成形弾薬の爆発で発生する極超音速ジェットは非常に強力ですが、短い距離しか飛ばないからです。つまり、成形弾薬の威力は短距離に限られ、標的から遠く離れれば離れるほど、その威力は弱まるということです。戦車などの装甲車の周りにある金属製のケージは、特にこのためにあるのです。
しかし、それだけでは現代の対戦車兵器を防ぐことはできません。そこで、対戦車兵器に対抗するために登場したのがアーマー(爆発反応装甲)です。
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- Source:AppBank
- Author:テクノロジー記事班
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