物流とタクシーを〝無人化〟するウェイモ(Waymo)、Googleが産んだ自動運転の最先端企業がスゴい!



2023年、自動運転や無人タクシーの技術はどこまで進んでいるのか? その最先端をGoogleの兄弟会社であるウェイモ(Waymo)の展示から探ってみたいと思います。

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ウェイモ(Waymo)とは? 歴史と概要

ウェイモはGoogle社内で行なわれる野心的な新規事業分野である〝Xラボ〟で2009年にスタートしたプロジェクトです(その後、分社化され現在はアルファベット傘下の企業となっています)。


ウェイモの特徴は最初から「人工知能を活用した完全自動運転車(レベル4以上)」をつくることを目指している点で、「ドライビング・アシスト(補助)」ではないということ。

また、テスラなどが光学カメラで周囲を認識して自動運転をするシステムを採用しているのに対して、ウェイモはLiDARセンサーを主体とするシステムを初期から採用している点が特徴。LiDARセンサーは部品コストが高いことが弱点である一方、光学カメラより暗闇や逆光、霧、雪、雨などに強いことが利点です。


同社は2018年に世界初となる完全自動運転車による配車サービス「ウェイモ・ワン」をアリゾナ州フェニックスで一般ユーザー向けにスタート。2020年にはテキサス州ニューメキシコで開始し、カリフォルニア州サンフランシスコでも、テスト運用を開始しています。

配車サービス大手のUberやテスラが自動運転や運転補助機能が絡む事故に見舞われる一方でウェイモは着実にサービスエリアを広げており、「世界で最も成功した完全無人タクシーの会社」としての地位を固めつつあります。

ウェイモ〝完全自動運転車〟の歴代モデル

ここからはCES2023で展示されていたウェイモの歴代無人車の実物を見ていくことにしましょう。

世界のド肝を抜いた無地運転車の始祖

2015年ごろに稼働していた「ファイヤーフライ」。車体の天井に360°LiDARセンサーを備え、前後左右にもLiDARセンサーを搭載しています。




米国初の〝完全無人〟商用タクシー

アリゾナ州などで展開される自動運転タクシーの車体として採用されたのはクライスラー・パシフィカ(ハイブリッド))




サンフランシスコへ投入予定のモデル

Googleのお膝元シリコンバレーにほど近いサンフランシスコを走るのはジャガーの電動自動車I-PACEベースの車体。


フェニックスやニューメキシコは直線で幅が広い道が多く晴天の日が多い場所であるのに対して、サンフランシスコは入り組んだ坂道があり霧が発生する土地でもあるため、自動運転の難易度が上がります。

これが無人タクシーの最新系?

こちらはジーリー(Geely/吉利汽車)傘下の電動自動車ブランドであるジーカー(Zeekr/极氪)をベースにしたモデル。

参考:中国の吉利汽車、EVブランド「Zeekr」を分社化・上場へ | Reuters

「ウェイモ・ワン」向けの汎用車体になる可能性があり、完全無人・電動・アプリで呼べるタクシーとして開発が進んでいます。




車内にはハンドルなど運転に必要な装置が一切ありません。〝完全自動運転〟に特化したインテリアであることが一目してわかります。


物流トラックの自動運転化がも実現間近

ウェイモは「ウェイモ・ヴィア(Waymo Via)」と呼ばれる物流・配送用車両の開発も行っており、既に走行可能な車両をテストしている段階です。




同社はウェブサイサイトで「米国では全貨物の約70%がトラックで運ばれており主要な貨物輸送手段となっています。さらに、小売店の店先や自宅の玄関先まで配送するローカル配送もあります」と述べており、AmazonあるいはDHLやFeDexがカバーするような巨大な物流網を自動運転プラットフォームに取り込もうとする野心がうかがえます。


トラックでも車体そのものはフリートライナー(FREIGHTLINER)製で、ウェイモは自動運転システムの開発のみを行なっています。この辺りは「Android というOSを提供をし(近年のPixelなどの例外を除き)、スマートフォン端末の開発はしない」というGoogleのアプローチと少し似ているかもしれません。

なお、テスラも「Semi(セマイ)」という物流トラックを発売しています。2023年初旬時点では人が運転をする仕様ですが、将来的には自動運転による配送も視野に入れているこはずで、ウェイモと競合する存在と言えそうです。

「自動運転の車」というと、いまだに「いかにも未来の話」という気分になりますが、アリゾナ州などではすでに完全無人タクシー一般向けサービスが始まっており、サンフランシスコなどの大都市へのスタートも秒読みです。

なお、日本では無人タクシー以前に「ライドシェア」すら規制されている状況であり、同時に法人タクシードライバーの4割以上が65歳以上という高齢化が進んでいます。このままでは10年と経たずに地方ではタクシー配車網を維持できなくなることは明らかです。

自動車という人の命に直結する技術だけに「事故があってはいけない」ことは間違いありません。一方で、明らかな衰退を見て見ぬふりをして新技術の導入を先送りにすることがあってはなりません。既得権と規制にがんじがらめになって「タクシーが呼べなくて、病院にもいけないし大事な行事も参加できない」という状況が頻発する未来を迎える前に、ライドシェアや自動運転を普及させられるか否かは日本の未来を左右する問題と言えるでしょう。

ウェイモをはじめとする米国企業の勢いに圧倒されると同時に、日本の現状に危機感を覚えた取材でした。

*Category:テクノロジー Technology





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