BTSのブラックスワンは2020年にリリースされ、MVの芸術性が高く評価された楽曲です。コンテンポラリーダンスチーム、MNダンスカンパニーとのコラボによるアートフィルムも話題となり、メンバーで唯一コンテンポラリーダンスの経験があるジミンに多くの期待が寄せられました。
ブラックスワンの歌詞にはBTSの音楽に対する自我と覚悟のようなものが盛り込まれています。そしてMVが公開されると歌詞と共にMVの意味するところは何か、SNSでは様々な考察が投稿されました。
今回は、MVを振り返りながら「今だから言えるブラックスワンの意味」を考察していきたいと思います。ぜひご覧ください。
目次
- 1. BTS(防弾少年団)ってどんなグループ?
- 2. BTSの「ブラックスワン(Black Swan)」とはどんな曲?
- 2.1. 先行公開されたアートフィルム
- 2.2. アートフィルムを鑑賞したメンバーの感想
- 2.3. メンバー出演のMV
- 2.4. MVの撮影場所は
- 2.5. MVエピソード
- 2.6. ブラックスワンとはなに?
- 3. 筆者が考察!「ブラックスワン」に込められた本当の意味とは?
- 3.1. アートフィルムの考察
- 3.2. メンバー出演のMVの考察
- 3.3. 「映画:ブラックスワン」との関係は?
- 3.4. 今だから言える「ブラックスワン」に込められた意味
- 3.5. SNSにあるARMYの考察について紹介!
- 4. 筆者目線の「ブラックスワン」を聞いた感想
- 5. まとめ:BTSの「ブラックスワン」を考察してみた!
BTS(防弾少年団)ってどんなグループ?
BTSは2013年6月13日にデビューした7人組のボーイズグループです。正式名称は防弾少年団(バンタンソニョンダン)。グループ名には「10代20代に向けられる社会的偏見や抑圧を防ぎ、自分たちの音楽を守り抜く」という意味が込められています。
ファンクラブ名はARMY。軍隊(ARMY)と防弾チョッキ(防弾少年団)はセット、だからいつも一緒という意味で名付けられました。
2017年より英語表記、Bang-Tan-Sonyondanの頭文字をとったBTSを通称として活動していますが、その際新たに「現実に安住することなく、夢に向かって絶えず成長していく青春」という意味も付け加えられています。
常にメッセージ性を重視しているグループで、作詞作曲をメンバーが手がけることも。デビュー曲「No More Dream」は、夢なき若者へ君の夢はなんだと問いかけるものでした。その後もメッセージを込めた楽曲を発表し続け、MVが公開されるとARMYたちによる楽曲の解釈をめぐる考察がSNSを賑わしています。
特に2015年にリリースされた花様年華(かようねんか)シリーズは全ての楽曲に繋がっているとも言われ、あらゆる楽曲の考察の際に引き合いに出されるほどです。最近では「Yet to come」にも関連しているという考察も見られました。
BTSのメッセージは歌詞だけに留まらず、MVにも多数散りばめられています。MVに登場するもの、絵画などにも全て意味があると思ってもいいでしょう。BTSはこうしてより多くのメッセージを発信し続け、そしてARMYはそのメッセージを受け取ろうと考察し続ける、アイドルとファンを超えた関係を築きつづけているグループです。
メンバーは、リーダーのRM(愛称:ナムジュン)、ジン(愛称:ジン)、シュガ(愛称:ユンギ)、ジェイホープ(愛称:ホビ)、ジミン(愛称:ジミン)、V(愛称:テテ)、ジョングク(愛称:グク)の7人。ナムジュンとシュガはBTSの楽曲の作詞作曲にも多く携わっています。
BTSの「ブラックスワン(Black Swan)」とはどんな曲?
ブラックスワンは2020年2月28日にリリースされたアルバム「MAP OF THE SOUL : 7」に収録された楽曲です。リーダーのナムジュンも作詞作曲に参加しています。心の内にひそむ影に焦点をあてられたブラックスワン。BTSにとって音楽とは何か、自我との葛藤、そして覚悟、決意のようなものが込められている楽曲です。
また「ブラックスワン」というタイトル、そして公開されたMVが大きな話題を呼び、ARMYたちの考察が盛んに行われた楽曲でもあります。
先行公開されたアートフィルム
リリースに先立ち1月17日に先行公開されたのが、メンバーが出演するティーザーではなく、アートフィルムでした。
このアートフィルムは、スロベニアのコンテンポラリーダンスチーム、MNダンスカンパニーとのコラボレーションで作成されています。「ブラックスワン」という楽曲をMNダンスカンパニーとして解釈し、表現したパフォーマンス。見事に楽曲の世界が表現された芸術的で人々を魅了する作品です。
通常、先行公開されるティーザーはMVの一部を公開し、期待感を煽ります。そのため、このようなアートフィルムの公開は前例がありません。しかもこのようにクリエイティブで一つの作品となっているアートフィルム。メンバーが出演するMVはどんなものになるのか人々の期待を最大限に高めるものであったと思います。
また「ブラックスワン」というタイトルとMNダンスカンパニーのパフォーマンスが、バレエの作品「白鳥の湖」や、ナタリー・ポートマン主演の「映画:ブラックスワン」を連想させ、関連性は? など様々な憶測を呼びました。
アートフィルムを鑑賞したメンバーの感想
このアートフィルムは、メンバー全員で鑑賞する姿が公開されています。リアクションとして投稿された動画ですが、全員見入っていました。その中でメンバーたちは「僕たちの苦痛を昇華させてくれるみたい」「コンテンポラリーダンスは人の気持ちを動かす」「感情をすごくよく表現している」「なんとなく内容が理解できた気がする」とコメントしています。
そして「ARMYたちは解釈の専門家だから。僕たちよりすごい」とARMYの考察を楽しみにしているような発言も。また「ジミンにこのコンテンポラリーダンスを踊ってほしい」という声も上がっていました。メンバーたちもジミンに期待していたんですね。
メンバー出演のMV
メンバーが出演するMVが公開されたのは3月5日。予告なくサプライズ公開され衝撃を与えました。
MVはジミンのソロダンスで始まります。MV公開前はメンバーで唯一のコンテンポラリーダンス経験者、ジミンがどのようなパフォーマンスを見せてくれるのかということに、多く関心が集まっていました。
先行公開にMNダンスカンパニーのアートフィルムを使用したこともあり、やはりBTSのパフォーマンスもコンテンポラリーダンスを取り入れた新しいパフォーマンスとなっています。そしてMVは公開と同時にあまりの芸術性の高さに「美しい」と話題に。BTSは世界の期待を簡単に超えて行きました。
関心を集めていたジミンも同様です。普段からジミンのダンスは美しいと定評がありますが、ブラックスワンで踊るジミンのソロダンスは芸術的でMVをみた人たちの心を震わせました。このジミンのダンスは雑誌「Marire Claire」で2020年の最高パフォーマンスに選ばれるなど多くの評価を受けています。
他のメンバーたちもいつもとは違う、慣れないダンススタイルでしたが、それをものともせず楽曲の世界観を表現し「これぞBTS!」というのを見せてくれました。またダンス以外でもメンバーのビジュアルと豪華な背景がとてもマッチしていてより美しさを増している……とにかく素晴らしいMVとなっています。
BTSはこのMVは芸術性の高さが評価され「芸術するアイドル」とも呼ばれるように。しかしこれだけの芸術性を見せられるともはや「アイドル」の域は超えている気がします。BTSの可能性、スケールの大きさを見せてくれたMVではないでしょうか。
MVの撮影場所は
このMVが撮影されたのはアメリカで由緒あるロサンゼルス・シアター。1931年に建設され、歴史的文化財にも認定されている劇場です。バロック様式の装飾が施されたこの劇場は、撮影にも多く使われています。
この楽曲のコンセプトを表現するにはこれ以上ないくらいピッタリマッチした場所です。この場所で撮影されたことでよりMVの芸術性の高さが増していますね。
MVエピソード
MVエピソード動画の中で、ジミンは最初のソロシーンを「ダンスを通して感情を表現している、はかない白鳥」と言っていました。そして「BTSが裸足で踊るのは初めて」と。たしかにヒップホップなどで裸足で踊ることはありません。今回はコンテンポラリーダンスを取り入れているため、より効果的に表現するために裸足で踊ることを選択したようです。またジェイホープは「特別の場所で撮影している。全てのことに意味がある」とも。これはARMYたちの多くの考察を呼ぶことは想定済みですね。
このエピソード動画、撮影中以外のメンバーの様子にちょっと癒されます。楽曲の持つエネルギーに引きずられて苦しくなりますが、はしゃぐメンバーを見るとなんだかホッとしました。
また影を演じていたのは……と種明かしも。シュガの影はジミン、ナムジュンの影はジェイホープ、ジョングクの影はジミン、だそうです。
ブラックスワンとはなに?
ブラックスワンと聞くと、映画を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は「ブラックスワン理論」というものがあるんです。これは主に経済用語として使用されることが多く、「想定を遥かに超えるありえないことが発生し、大きな衝撃が走る」というような意味で用いられています。
なぜブラックスワンがそのような意味で使われているのか。その起源は1697年のオーストラリアで起こったことに起因しています。それまで「白鳥」は文字通り「白いもの」と思われていました。が、この年、なんと「黒い白鳥」が発見されたのです。この発見は鳥類学者たちに大きな衝撃を与えました。この出来事から、誰も予想しえない想定外の出来事が発生し、世の中に大きな衝撃が走る出来事を「ブラックスワン」というようになったと言われています。
そのため、BTSのブラックスワンも「ブラックスワン」が意味するところは何か、ということがARMYたちの間で考察されていました。
筆者が考察!「ブラックスワン」に込められた本当の意味とは?
数々の考察が行われているブラックスワン。過去のMVとの関連性も話題となっています。が、そこまで振り返ってしまうと奥が深すぎて……。なので、過去のMVとの関連はARMY考察隊たちにお任せして、ブラックスワンのMVを中心に楽曲を見ていきたいと思います。
アートフィルムの考察
アートフィルムの冒頭には、20世紀最大の舞踊家とも言われたアメリカの舞踏家、マーサ・グラハムの言葉
a dancer dies twice- once when they stop dancing, and this first death is the more painful
ダンサーは二度死ぬ。一度目は踊るのを辞めたとき。この最初の死が最も辛い。
が添えられていました。最初の死、ダンサーにとって踊れなくなることが、本当の死よりも辛い。ブラックスワンの歌詞の中にも「最初の死」という言葉が出てきます。「音楽が私の胸をもっと震わせることが出来ないなら、最初の死を迎える……」というような内容です。BTSはマーサ・グラハムの言葉に自分たちを重ね、先行公開としてMNダンスカンパニーのアートフィルムを選択したのかもしれません。
MNダンスカンパニーのパフォーマンスは、白鳥と思われる上半身裸のダンサーが羽ばたこうとするところから始まります。楽曲も冒頭をはじめ随所に弦楽器のアレンジが加えられました。それがより繊細に飛び立とうとする白鳥を表しているように思います。
ブラックスワンの歌詞は、前半は葛藤の渦の中自我を見失い、後半は自我を取り戻したというような印象。それに伴ってパフォーマンスも前半は閉塞感のある2階で苦悩を、後半は解放感のある1階で決意を表現されているような気がします。
冒頭、羽ばたこうとする白鳥を無数の手が、または黒鳥と思われるダンサーたちが、表現していますが、絡み合い思うように羽ばたけません。そして光の檻が現れ、さらに飛び立とうとしても逃れられない状況。葛藤する歌詞の内容が表現されています。
そしてようやく抜け出した中盤。ふと我に帰ったかのように、無心で階段を降りて下へ向かう白鳥。無事逃れられたと思いましたが、1階へたどりつくと再び黒鳥に囲まれます。しかし、その様相は前半とは異なり抗う姿が。次第に白鳥がリードして、白鳥に続いて黒鳥が同じ振りをするなど立場が逆転したように見受けられます。最後は飛び立とうとする姿が収められていました。
最後の姿にはいろいろな考察があります。リアクション動画でナムジュンは「結局最後につかまってしまったのか」と。ARMYの中では「飛び立つのを助けている」というものも。どちらもありえると思いますが、後半の白鳥がダンスをリードする姿、そして羽ばたきながらカメラが上空にパンしていく映像、私はこの後白鳥は羽ばたいていったと思いたいです。
メンバー出演のMVの考察
前半のジミンのソロダンス。ジミンが感情を表現したと言っていましたが、MNダンスカンパニーの白鳥と同じようにもがき苦しみ葛藤する姿が。黒鳥になってからのソロダンスも、抜け出せず疲弊していく、そんな姿に見えました。どちらもジミンが込めたであろう感情が伝わってくる、とても切なくてそして美しいダンスです。
BTSのMVでは真っ暗な舞台では白い衣装を着た白鳥のシーンが、豪華な装飾が施された場所では黒い衣装を着た黒鳥のシーンが撮影されているような気がします。
また白鳥の衣装、ジミンのジャケットには黒い羽根が。そしてよく見ると、シュガのジャケットの裾にも黒い羽根……ジョンググはジャケットの袖がグレーに、ジェイホープはジャケットの裾がグレー。ナムジュン、ジン、テテはジャケットのインナーが黒。白鳥の衣装なのにそれぞれどこか黒が取り入れられています。
これはどういうことなのか。誰がブラックスワンなのかという考察がありますが、誰しもブラックスワンの種を持っている……そんな感じでしょうか。
MVの中で気になるのは「ジンの鏡のシーン」と「影」。ジンの鏡のシーンは「映画:ブラックスワン」を思い起こさせるものでもあります。またARMYたちには、過去との考察にもつながるシーンのようです。そして影。シュガのラップシーン、ナムジュンのラップシーン、どちらも映っている影は自身の影とは異なり、羽ばたく鳥の影が映し出されています。また最後はジョングクの影は小さくなって消えていく……。この場面を見て、小説「デミアン」や「ゲド戦記 :影との闘い」を思い出しました。
「デミアン」は主人公の少年がデミアンと出会い、善とは何か、悪とは何か葛藤しながら成長していくお話。そしてデミアンは「僕は君の中にいる」という言葉を残して消えてしまいました。この話は「Wings」のコンセプトになっているとされています。その際、ナムジュンは「花様年華part2」にも通じると語っていました。なので、BTSの楽曲の多くは、根底で「デミアン」で描かれているテーマを共有しているのでしょう。
「ゲド戦記」は、主人公の少年が影に怯え逃げ続けるお話。やがて主人公は影が自分自身の闇であると気がつき、影を受け入れる決意を。そして影を受け入れたことで完全体となった、そんな内容です。完璧であろうとするために起こる自己の葛藤、かい離……。光と影は表裏一体、誰しも影の部分は持っているもの。このMVの最後のシーンも影を受け入れて完全体となり次へ進んでいく、そんなシーンではないでしょうか。
「映画:ブラックスワン」との関係は?
アートフィルム公開当時から話題になっていたのは、「映画:ブラックスワン」との関係。ナムジュンは「歌詞を書く際、ブラックスワンを見て泣いた」と語っています。なので「映画:ブラックスワン」と関連していることは間違いないでしょう。その証拠に、MVの最初のシーンは暗い舞台の中、一筋のライトの中にたたずむジミンから始まります。映画の始まりも同様に暗い舞台の中、一筋のピンスポットの中で踊る主人公です。
映画は、バレエ団の公演「白鳥の湖」の主役に抜擢された主人公のお話。白鳥の湖では白鳥と黒鳥を演じるのですが、妖艶な黒鳥を踊ることへのプレッシャー、主役を奪われるかもしれないという恐怖から次第に精神を病んでいき、最後は自身の影に飲み込まれ破滅を迎える様子が描かれています。しかし影に飲み込まれたことで、自身が求めていた最高の演技が完成するという……なんとも皮肉で切なく哀しいストーリーです。
他にもMVとの共通点が。それはジンの鏡のシーンです。鏡に囲まれたジンは振り向きましたが、鏡に映るジンは振り向かず(ジンの正面にある鏡を除いて)、しっかり正面を見据えたままとなっています。
映画でも主人公が鏡から目をそらしても、鏡の中の主人公はそのまま正面を向き意思を持ったような表情を浮かべるシーンがありました。こうしたシーンを思い起こさせることで、より自己のかい離を明確に表現しているのではないでしょうか。
また映画の中には「最初の死」を迎えるダンサーも出てきます。長年バレエ団の主役を務めてきたダンサー。新しい主役を迎えると聞き苦悩し、その苦しみから本当の死を迎えようとする姿が描かれていました。
映画は自身の影に飲み込まれ、最終的に成功と同時に破滅を迎えますが、BTSのブラックスワンでは最後、ジョンググの影が消え、それを確認しジョンググが立ち去っていきます。なので、こちらは自身で影を取り込み次のステージへと去っていくといった感じではないでしょうか。
このようにあえて別の作品を連想させることで、その作品の力を借りて、楽曲により深みを持たせているように思います。
今だから言える「ブラックスワン」に込められた意味
改めて歌詞を見直してみてふと思い起こされるのは、BTS FESTA 2022でのナムジュンが語る姿です。「メッセージを投げかけるのが重要で生きる意味なんだけど、今は何を話せばいいのかもわからない」と涙ながらに苦しい心境を語っていました。ブラックスワンの歌詞に「音楽を聞いても何も感じない」「これが最初の死」というような言葉があります。あのBTS FESTAでのナムジュンをみた後に、この歌詞を聞くとどうやってもBTS FESTA を切り離して考えることができません。
BTS FESTAでは、BTSのチャプター1はONまでと言っていたナムジュン。そして当初はワールドツアーを予定していたと。そう考えると、ブラックスワンの歌詞に込められた思いは、あのBTS FESTAでメンバーたちがそれぞれ涙し語っていた胸の内が込められていたと言うことでしょう。シュガも「話すことがない」と作詞作曲にたずさわる二人がそれぞれ、内に秘める思いの枯渇を語っていました。それは本当にブラックスワンの歌詞と重なります。このままでは「最初の死」が訪れる、だからこそチャプター1の終了へと繋がったんですね。
そして、ブラックスワンの後半では「僕は僕を見た」「もう流されない」というような決意を表す言葉が。この決意がチャプター2、ソロ活動への決意へと繋がっているように思います。MVで最後に影がジョングクの消えたのも、やはり新たな決意の表れ、そして新しいステップへ進み、メンバーそれぞれが自分自身を取り戻す希望の表れと言っていいのではないでしょうか。
こうして考えていくと「ブラックスワン」というタイトルも、まさにブラックスワン理論が活用され、グループ活動の休止、ソロ活動への移行を表していたと思われます。
なので本来ならBTS FESTA 2022で語られた内容は、ONの活動終了後語られるはずだった内容でしょう。それがコロナの影響で2年先延ばしに。ブラックスワンに思いのたけを込めて書き上げたナムジュン。苦痛から解放されるはずだった2020年。それから2年もの間、思いを秘めて活動し続けた……この2年間はさらなる苦痛を生んだのではないでしょうか。あの涙には本当に多くの意味が、叫びが、込められていた気がします。改めて胸が痛い……です……。
SNSにあるARMYの考察について紹介!
SNSでは今までの楽曲との繋がり、ブラックスワンは誰かなど数々の考察が投稿されていました。
これはアルバム「Wings」に収録されていたテテのソロ曲「Stigma」MVのワンシーン。アートフィルムの中に光で表現された檻のシーンとこのシーンを重ねて、ブラックスワン=テテと推察されています。
同じくアルバム「Wings 」にはテテがブラックスワンと思わせるMVが。それは「ピッタンヌンムル(血汗涙)」。ピッタンヌンムルにも黒鳥を思い起こさせる黒い羽根の彫像が登場。そういえば「映画:ブラックスワン」にも似たような彫像が登場していました。
他にも彫像や絵画が多数登場し、ブラックスワンと通ずるところを感じます。そしてMVの最後の方のシーン、テテの背中にまるで羽根の跡のような傷が……そして振り向き笑みを浮かべるテテ……。
また、Wingsのツアートレーラー動画では黒い羽根が生えるテテのシーンも。それはこちら。
このシーンからもブラックスワン=テテの声が多かったようです。
こうして見ていると、たしかに繋がっている、繋がっていない訳がない、という気がしてきますね。
この方は、ブラックスワン=ジョングクって感じですかね。ジョングクもMVの最後のシーンや過去のMVから、ブラックスワンでは? という声が上がっていました。
こちらはアルバム「MAP OF THE SOUL : 7」の1番目のフォトコンセプト。たしかにジンだけ視線が……MVの鏡のシーンもジンの視線が……でしたね。これも意味がありそうです。
実はジンは花様年華からタイムリープを続けているとの考察があります。……深い。そこまで遡ってしまうと終わらないので、興味がある方はググってみてください!
「ツアーがあると思う」この方はするどいですね。実際、BTSはONの後、ワールドツアーが行われる予定でした。残念ながらコロナの影響で実現はされませんでしたが、ブラックスワンの公開時はツアーを予定していたということ。さすがの考察です。
そしてとても興味深いのがこちら。
オメラスの子。これはゲド戦記と同じ作家の「オメラスから歩み去る人々」というお話です。オメラスという楽園があり、実はその楽園は一人の子の犠牲の上に成り立っている、しかしその子を助けると、楽園は崩壊してしまう。そのため誰もその子に手を差し伸べることはないというお話。
オメラスの子の話はたびたび考察で登場しています。正直、むずい……。でも興味深くもあります。メンバーが「専門家」と言っていたのはきっとこういう方たちですね。Twitterで見るとこの方の考察が続けて見られるのでぜひ。
この方の気持ちよーくわかります。本当にARMYたちの考察はレベルが高すぎて……すごいと思いますが、なんか気おくれしちゃいますよね。そこへリアクション動画で「僕たちよりすごい」って感心しまくるメンバー。あ、考察しないで単純に楽しんでもいいんだーって言われたようでちょっと安心しました。
筆者目線の「ブラックスワン」を聞いた感想
一言で表すならば、とにかく「美しい」の一言につきます。MVもダンスもそして苦悩する歌詞もぜーんぶ! というか本当に何もかも素晴らしすぎて語彙力を奪われる感じです。
最初にMVを観たときは、あまりの芸術性の高さに衝撃を覚えました。MVを観たというより、まるで一つの舞台を観たような……特にジミンのダンス。苦悩・葛藤・哀しみ・絶望……ジミンのダンスが全てを語っているような感覚。美しくて切なくて見ていると色々な感情がこみ上げてきます。
またテテ、ジョングクはあの豪華な装飾に負けないビジュアル。そして階段前で全員で踊る姿は、強さを感じカッコよくて。キレッキレのダンスはやはり見ていて興奮します。楽曲自体にも人々を惹きつける強さがありました。
この楽曲はぜひMVやライブパフォーマンスと合わせて楽しんでいただきたい。そうするとよりメンバーの苦悩、決意が伝わってくきます。そしてMVはそんな切なさもありながら、豪華なロサンゼルス・シアターとメンバーのビジュアルのコラボは美しすぎる!! そしてライブパフォーマンスは照明などまた違った良さがあるんです。
どちらも美しくて、その美しさが苦しみの中で癒しを与えてくれます。とにかく言葉では表しきれないものが詰まっている、視覚、聴覚すべてで感じていただきたい、そんな楽曲です。
まとめ:BTSの「ブラックスワン」を考察してみた!
ブラックスワン……知れば知るほど奥が深い楽曲でした。MVは高い芸術性で人々を魅了し、歌詞、コンテンポラリーダンスは人々の感情をかき乱す、なんともクセになる楽曲です。そして、メンバーの葛藤が描かれた楽曲、新たなBTSへの区切りとなる思いを込められた楽曲であったと思います。
また、ARMYたちの考察によると過去のMVとのつながりもあり、BTSは改めて常に葛藤しながらメッセージを発信し続ける、アイドルでありアーティストであり……そんな枠を超えた存在なのかもしれません。
そうそう、ブラックスワンは誰なのか? いろいろな考察がありましたが、私は「全員」だと思います。白い衣装に黒が取り入れられていたように、ブラックスワンはみんなの心の中に存在するもの。そしてジョングクが影を取り込んで一体となったように、メンバー全員がそのブラックスワンを乗り越えてさらに羽ばたいてほしい……そんな思いも込めて。
物の姿はそれぞれ。見る方向が変われば姿も変わるもの。うーん私の考察はちょっと違うなぁという方もいらっしゃるでしょう。それはそれで、BTSの楽曲もみなさんそれぞれの受け取り方、楽しみ方があっていいと思います。「自分のやりたいようにしろ」と歌っていますから。みなさんも自分なりの楽しみ方で感じてくださいね。
- Original:https://www.appbank.net/2023/02/20/entertainment/2404686.php
- Source:AppBank
- Author:はねせがわ
Be the first to comment