特定の条件下において、音が完全な真空中を伝わることが可能である、ということが物理学者によって解明されました。
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音が真空を伝わる仕組みとは
フィンランドにあるユヴァスキュラ大学のジュオラン・ゲン氏とイラリ・マアシルタ氏によって、初めて真空中での完全な音響トンネリングが証明されました。これを実現するには、動きを電圧に変える2つの圧電材料が必要で、これらの物体は、送りたい音の波長よりも小さなギャップで分離されている必要があります。すると、その隙間を完全に飛び越える、つまり「トンネル」すると言うのです。音響波のトンネリングについては1960年代から知られていました。しかし、科学者がこの現象を調査し始めたのは比較的最近のことであるため、その仕組みについてはまだよく解明されていませんでした。
音が伝播するためには媒質が必要です。音は振動によって発生し、媒質中の原子や分子を振動させます。そしてその振動は隣接する粒子に伝えられます。私たちはこの振動を、耳にある敏感な膜を通して感知します。完全な真空とは、媒質が完全に存在しない状態です。振動する粒子がないので、音は伝播できないはずです。
しかし、抜け道があります。圧電結晶という、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換し、逆に電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する材料があります。言い換えれば、結晶に機械的ストレスを与えると電界が発生します。結晶を電界にさらすと、結晶は変形し、これは逆圧電効果として知られています。
さて、ここから面白くなります。音の振動は機械的ストレスを与えます。ゲン氏とマアシルタ氏は、圧電結晶として酸化亜鉛を用い、ある条件が満たされれば、結晶がこの力を電界に変換できることを発見しました。もし最初の結晶の範囲内に2つ目の結晶があれば、その結晶は電気エネルギーを機械エネルギーに変換できます。こうして音の波は、真空を横断するのです。ただしそのためには、初めの音響波の長さよりも広くないギャップで2つの結晶を分離する必要があります。
また、この効果は周波数によって変化します。真空のギャップを適切に調整すれば、超音波や超音速の周波数でも2つの結晶間の真空をトンネルできます。この現象は、量子力学的なトンネリング効果に類似しているため、この研究結果は、量子情報科学や他の物理学分野の研究に役立つ可能性があります。「多くの場合、効果は小さいですが、波のエネルギーが真空を100%の効率で飛び越える場合や反射が全くない場合も見つけました」とマアシルタ氏は述べています。この現象は、マイクロエレクトロメカニカルコンポーネント(MEMS、スマートフォン技術)や熱の制御に応用できる可能性があります。
- Original:https://www.appbank.net/?p=2541220
- Source:AppBank
- Author:記事班02テクノロジー
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