太陽が放出した「謎の高エネルギー放射線」のヤバい正体



太陽から、謎の高エネルギー放射線が検出され、天文学者を困惑させています。これは地球上の生命に脅威を与えるものではありませんが、この発見は、太陽の内部構造に関するモデルを覆すかもしれないものです。

*Category:サイエンス Science *Source:vice ,PHYSICAL REVIEW LETTERS ,NASA

太陽から謎の高エネルギー放射線を観測


太陽は主に赤外線、可視光線、紫外線の波長帯で輝いていますが、先駆的なガンマ線望遠鏡による最近の観測によって、太陽はもっと高いエネルギーで活動している可能性が示唆されました。これらの手がかりを追うため、科学者たちはメキシコの高高度水チェレンコフ(HAWC)天文台で6年間太陽を観測しました。すると、地球で経験する可視光線よりも1兆倍も強いガンマ線が初めて観測されたのです。

科学学術雑誌のフィジカル・レビュー・レターズに発表された研究論文に以下のような記載があります。

deepen the mysteries of the solar-disk emission.highlight the need for a revised framework that can explain the anomalous excess of gamma rays from the Sun also in the TeV range.


— 引用:PHYSICAL REVIEW LETTERS

「太陽円盤の放出の謎が深まった。太陽からのガンマ線がテラ電子ボルト(TeV)領域でも異常に過剰であることを説明できるような枠組みを見直す必要性が浮き彫りになった(PHYSICAL REVIEW LETTERS)」

研究チームは「太陽は、マルチメッセンジャー天体物理学で最も広く研究されている天体のひとつではあるが、高エネルギーでの太陽の放射の謎を解くためには、決定的な新しい調査が必要だ」と述べています。このため、HAWCチームは独自の観測装置で太陽のエネルギー範囲の上限を探ろうとしました。従来の望遠鏡とは異なり、HAWCは300個の大きな水タンクを使い、それぞれに200トンの精製水を入れ、複雑なセンサー網で監視しました。この珍しい検出器は、宇宙の最もエネルギッシュな領域からのガンマ線や他のメッセンジャー、宇宙線などをキャプチャするように設計されており、これには宇宙を駆け抜ける謎めいた超高エネルギーの粒子である宇宙線も含まれます。これは、TeV領域の太陽を観測できる数少ない検出器のひとつであり、その広い視野と高い稼働時間率により、太陽が天空を横切る間、連続的に観測することができます。

HAWC共同研究チームは、主に太陽系のはるか彼方で発生する高エネルギー現象に焦点を当てていますが、NASAのフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡が、TeV放射より1000倍低いギガ電子ボルト(GeV)領域の太陽ガンマ線放射を観測した後、研究チームは太陽を研究することにしました。科学者たちは、これらの明るいガンマ線は、遠く離れたフロンティアから来た宇宙線が太陽に衝突し、太陽表面の粒子と相互作用するときに発生すると考えていますが、このような遭遇の正確な詳細はまだ不明です。


この新しい研究は、2014年11月から2021年1月までの高エネルギー太陽観測データに基づいています。太陽は11年周期で活動し、活動の極小期と、強力なフレア、頻繁な太陽嵐、豊富な黒点によって特徴づけられる極大期を含みます。HAWCの観測期間中、太陽は太陽周期の最も静かな時期にあったにもかかわらず、最大10TeVのエネルギーを持つ記録的なガンマ線を放出しました。この強力な輝きの原因はまだ不明のままです。とはいえ、ガンマ線の謎めいた起源は、高エネルギー放射の生成に重要な役割を果たしていると思われる太陽の強力な磁場に焦点を当てた今後の研究によって解明されるかもしれません。

「観測されたフラックスは、太陽の縁から予想されるフラックスよりも2桁近く高く、磁場がフラックスを調節し増強する重要な役割を果たしていることを示している」とチームは述べています。さらに「最高エネルギーで太陽を調べることは、太陽圏における宇宙線の伝播を理解する鍵であり、特にフェルミによって観測された予想外に明るいGeVガンマ線放出の謎を解く鍵である。HAWCのTeV観測は、太陽が非常に高いエネルギーで異常に明るいガンマ線源であることを示している」とのことです。




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