10月7日(2023年)にパレスチナの武装組織『ハマス(ハマース)』がイスラエルに対して攻撃を行い、双方に500名を超える犠牲者が出ていると報じられています。
今回の攻撃でハマスの戦闘員は境界を超えてイスラエルに侵入し、民間人や兵士を連れ去っているため、今後イスラエル軍による救出作戦が行われる可能性が高まっています。
このような人質救出や対テロ作戦に従事する部隊がイスラエルには複数あり、サイェレット・マトカルなどの存在が確認されています。この記事はイスラエルを拠点とし、特殊部隊向け装備などを提供するAgilite社の情報をもとに7つのイスラエルの特殊部隊をレポートします。
イスラエル軍の特殊部1:Refaim(ラファイン)
Refaim(ラファイーム)はヘブライ語(イスラエルの言葉)で「幽霊」を意味する単語です。ラファイームの隊員はIDF(イスラエル国防軍)の歩兵、工兵、対戦車戦、諜報、偵察、通信などのエリート兵から構成されています。
少数精鋭のユニットで独立して活動しながら敵の情報を探り、ターゲットを見つけ出し、IDFの部隊にレポートする任務を担う部隊です。この部隊の存在が明らかになったのは2019年前後と比較的新しいため、その詳細は謎に包まれていますが、イスラエル国防軍の先進的な作戦やテクノロジーを戦場で実証する任務を担っているといわれています。
» 参考:Multidimensional Unit (IDF) -Unit 888 “Refaim”|ウィキペディア(英語)
イスラエル軍の特殊部隊2:DUVDEVAN(ドゥブデバン)
特に機密性が高い部隊と言われるDUVDEVAN(ドゥブデバン)は潜入作戦を専門とする部隊で、現地人や敵対組織の人間に偽装してスパイとして活動しています。
この部隊が特に敵から恐れられている理由は、潜入操作だけでなくそこで発見した敵の逮捕や排除(つまりは暗殺)まで実行する能力を備えている点であり、しばしば報復作戦に投入されてきました。
» 参考:Duvdevan Unit|ウィキペディア(英語)
イスラエル軍の特殊部隊3:669(シックス・シックス・ナイン)
イスラエル航空宇宙軍の特殊部隊〝669〟の歴史は古く、その設立は1970年代といわれています。戦闘機やヘリコプターなどのパイロットが敵地で緊急脱出を行った際に救出に向かうことがこの部隊の目的で、戦場に素早く降り立つためのロープ降下や海上降下などのスペシャリストであり、同時に高度な救命技術を備えています。
場合によっては敵地の奥まで侵入することになるため、多数の敵からの戦闘を少数でかいくぐる能力も優れており、攻守に優れたエリート部隊として活躍してきました。なお、この部隊にはアラブ系イスラム教徒の女性が所属していることが明らかにされており、現地の複雑な情勢を内包する組織であるとも言えそうです。
» 参考:第669部隊 (イスラエル空軍)|ウィキペディア(日本語)
イスラエル軍の特殊部隊4:SALDAG(シャルダグ)
シャルダグはイスラエル空軍の特殊部隊で、主に敵地深くでの偵察や標的の排除、捕虜救出などの任務を担当しています。部隊の訓練は非常に厳格で、多様な戦場環境での戦闘能力を持つと言われています。
この部隊は、敵地での長期間の潜伏や偽装を得意としています。
イスラエル軍の特殊部隊5:SHAYETET 13(シャイテット・サーティーン)
シャイェテット・13はイスラエル海軍の特殊部隊であり、英国のSBS(スペシャル・ボート・サービス)や米国のネイビー・シールズと比較される精鋭部隊です。
敵の海洋インフラへの攻撃や海からの情報収集などを行うほか、海や川から敵地に潜入して妨害行為を行ったり、船上や港での人質救出作戦にも従事しています。
イスラエル軍の特殊部隊6:SAYERET MATKAL(サイェレット・マトカル)
〝総司令部偵察部隊=サイェレット・マトカル〟はIDFの参謀総長に直属する特殊部隊です。
1976年にパレスチナ解放人民戦線(分派)が起こした「エールフランス139便ハイジャック事件」に対するエンテベ空港奇襲作戦を行なった部隊であり、乗客102名の解放を成し遂げた特殊部隊としてその名を世界に知られています。
イスラエル軍の特殊部隊7:YAMAM(ヤマム)
ヤマムは人質救出作戦に特化したIDFの特殊部隊です。そのミッションの特性上秘匿性が高く、謎に包まれていますが人質がいる状況で突入作戦を行なうという極めて困難なミッションに挑むユニットであることから、精鋭中の精鋭とみられています。
ドイツ連邦警察のGSG-9に似た組織で、家屋やビル、バスなどに立てこもる敵を排除して、人質を救出する作戦を担います。
» 参考:ヤマム|ウィキペディア(日本語)
ハマスによるイスラエルへの攻撃と人質救出作戦
今回(2023年10月)のパレスチナによる攻撃では、イスラエルの民間人と兵士が複数連れさられて人質とされているとの報道があります。この先、解放のための交渉が難航したり、失敗した場合には人質救出作戦に特化した〝ヤマム〟や最精鋭部隊といわれる〝サイェレット・マトカル〟の出動がまっさきに予想されます。また、人質がいるガザは海に面したエリアもあるため、そのような地域へは海軍の〝シャイェテット・13〟が作戦を行なう可能性もあります。
いかなる理由があってもテロ行為は許されるべきことではありません。「この50年で最も深刻な攻撃を受けた」たと言われるイスラエルと、パレスチナに暮らす一般の人々に平和が訪れることを切に願います。
◆ 非常時に備えるためのアイテム3選
この記事をご覧の方の多くは日本にお住まいのはずなので、テロや紛争に巻き込まれる危険性はイスラエルより遥かに低いと言えるでしょう。けれども、事件事故、そして災害などを含めれば不測の事態はいつ訪れるとも限りません。ここでは記事の補足情報として、非常時に役立つアイテムを厳選してご紹介します。
【1】LEATHERMAN・マルチツール「CHARGE Plus TTi」
(↑)ナイフやノコギリ、ペンチ(プライヤー)などがセットになった万能ツール。老舗の「ヴィクトリノックス」も捨て難いものの、タフさやサバイバル状況での実用度ではレザーマンが上。中でもサイズと機能のバランスを考えると最強はこの「CHARGE Plus TTi」。
【2】RovyVon A8・小型LEDライト(白・赤・青3色)緊急時用赤色点滅機能あり
(↑)小指サイズのコンパクトサイズながら、650ルーメンと強烈な明るさを備えたLEDライト。スマホに内蔵されたライトとは比べ物にならないほど明るく、緊急信号に使える赤色ライトや血液が視認しやすい青色ライトも備える。USB-Cポートからの充電で最長72時間使用可能。
【3】Vertx「Ready Pack 2.0」
(↑)防弾プレート(別売り)を内蔵できるバックパック。街中での使用にもなじむデザインながら、MOLLE(モール/モーリー)システムに対応するミリタリー・ギアの追加などが可能な本格派。筆者は同ブランドの製品を3年以上使用しており、その性能には太鼓判を押せる。
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- Source:AppBank
- Author:テクノロジー記事班
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