Adobe Fireflyが大幅アップデート! 音声・動画・画像AI機能を一体統合



Adobe FireflyのAI音楽生成機能「サウンドトラックを生成」のUI画面

 アドビ株式会社は10月28日、クリエイティブプラットフォーム『Adobe Firefly』に画期的なAIツール、AIモデル、AIエージェントを新たに導入したと発表しました。

新しいAdobe Fireflyの全体像

 新しい『Adobe Firefly』はオールインワン環境として、業界トップクラスのAIモデルと、動画、音声、画像、デザインのための最良のツールを備え、アイデア創出から制作、大規模展開までクリエイターを支援するとのことです。

 同社のCTO(最高技術責任者)兼シニア バイスプレジデントであるイーライ グリーンフィールドさんは、「『Adobe Firefly』は、初期段階のアイデアの探索から、AIを活用した動画、音声、画像、デザインの制作、そしてその公開まで、クリエイティブプロセスの全工程を支援します。最高のAIモデルと最高のクリエイティブツールを1つの場所で活用できる環境として開発されました」とコメントしています。

新しい音声・動画生成ツール

 なお、「音声を生成」で利用できる音声モデルは、アドビ独自の「Firefly Speech Model」とElevenLabsの音声エンジンから選択できます。複数言語対応で、感情、ペース、強調といった細かなパラメータを調整することで、より自然で表現力豊かなナレーション制作が実現します。

 『Adobe Firefly』に追加される新機能として、スタジオ品質の音声・動画ツールが搭載されます。

 「サウンドトラックを生成」(パブリックベータ)は、完全ライセンス取得済みのスタジオ品質インストゥルメンタルトラックを作成するAI音楽生成ツールです。クリエイターが指定したビデオ素材と正確に同期・タイミング調整されたオリジナルトラックとその複数のバリエーションを数秒で提供するとのことです。

 「音声を生成」(パブリックベータ)はクリアなナレーションを作成するテキスト読み上げツールで、「Firefly Speech Model」と「ElevenLabs」から幅広い音声を選べます。複数の言語でリアルな音声を生成し、感情、ペース、強調を微調整することで自然で表情豊かな発話を実現しているそうです。

 「動画を編集」(プライベートベータ)はwebベースのマルチトラック型タイムラインエディターで、クリップの生成、整理、トリミング、シーケンス操作を高速かつ直感的に行えます。ナレーション、サウンドトラック、タイトルを追加することが可能で、『Adobe Firefly』で作成した全コンテンツを表示する「生成履歴」パネルからクリップを追加できるほか、新規クリップをエディター内で生成し、タイムライン上で直接開始フレームと終了フレームを作成することもできるとのことです。

新画像生成モデル「Firefly Image Model 5」

 新たに商用利用可能な「Firefly Image Model 5」(パブリックベータ)が追加されました。アップスケーリングなしでネイティブ4MP(2K)解像度の画像を生成でき、光や質感まで捉えたフォトリアリスティックなディテール表現に優れているとのことです。

 同モデルは解剖学的に正確でリアルな人物像を生成し、複雑で多層的な構図や自然界の動きの表現において大きな進歩を遂げているということです。画像生成と画像編集の統合も実現しており、「プロンプトで編集」ツールに活かされています。

業界トップクラスのパートナーモデルを統合

 『Adobe Firefly』では、複数のAIモデルを1つのプラットフォームで利用できます。

 アドビのパートナー企業による新モデルとしては、以下が追加されました。

  • ElevenLabs Multilingual v2(音声ナレーション生成)
  • Topaz Bloom(画像アップスケーリング)

 導入済みのモデルには、Black Forest LabsのFlux 1.1、GoogleのVeo 3.1、Imagen 4およびGemini 2.5 Flash Image(Nano Banana)、Ideogram 3.0、Luma AIのRay3、MoonvalleyのMarey、OpenAIのGPT Image、Pika、RunwayのGen-4、Alephが含まれています。

 さらに、ElevenLabs、Google、Luma AI、OpenAI、Runway、Topaz Labsなど、拡充を続けるパートナーモデルのエコシステムにより、ユーザーは『Adobe Firefly』のプラン内で業界トップクラスの複数のAIモデルを1か所で利用できるようになります。

新機能「Adobe Fireflyカスタムモデル」

 アドビは「Fireflyカスタムモデル」(プライベートベータ)をクリエイターに提供します。クリエイターが権利を持つ画像をドラッグ&ドロップするだけの簡単な操作でカスタムモデルをパーソナライズでき、独自のスタイルで視覚的な一貫性を持った一連のアセットを生成することが可能になるとのことです。

 カスタムモデルはデフォルトで非公開となっており、他者が利用するには作成者による承認が必要です。『Firefly』アプリまたは『Fireflyボード』からアクセスできます。

対話型AIアシスタント「Project Moonlight」

 『Adobe Firefly』内の新機能「Project Moonlight」(プライベートベータ)のプレビューが公開されました。エージェント型AIを搭載した対話型インターフェイスで、アドビの複数のアプリケーションをまたいだ動作が可能です。

 クリエイターのSNSチャネルを分析して得られたインサイトに基づいて新しいアイデアをブレインストーミングし、数分でコンセプトを作品にまで仕上げることが可能になるとのことです。AIアシスタントがパーソナライズされたアドバイスや提案を提供し、常にユーザー自身がコントロールを維持しながら利用することができます。

アイデア創出ツール「Adobe Fireflyボード」の新機能

 『Adobe Fireflyボード』にも新たな機能が追加されます。

 「画像を3Dに変換」では、2D画像を3Dに変換し、オブジェクトや人物をさまざまなポーズで配置したり、回転させて表示することが可能になります。また、「PDF書き出し」機能と「一括画像ダウンロード」機能により、プロジェクト横断でのビジュアルコンセプトの整理やコラボレーションが効率化されるということです。

 その他の新ツール群としては、ワンクリックで多様なスタイルの画像を生成する「プリセット」や、写真やその他のビジュアルアセット内のテキストを瞬時に変更する「生成AIテキスト編集」などが含まれています。

大規模展開向けツール「Adobe Fireflyクリエイティブ制作」

 「Adobe Fireflyクリエイティブ制作」(プライベートベータ)のアクセスが拡大されます。AIを活用したバッチ編集ソリューションで、クリエイティブプロフェッショナルとそのチームは、数千枚の画像を一度に編集することが可能です。背景の自動置換、カラーグレーディングの適用、トリミングといった作業の一括処理を、使いやすいノーコードインターフェイスで実現するとのことです。

発表イベント

 今回のアップデートは、世界最大級のクリエイティビティカンファレンス「Adobe MAX」において発表されました。

提供開始時期と価格

 「プロンプトで編集」は本日よりAdobe Fireflyユーザー向けに一般提供が開始されます。

 「Firefly Image Model 5」「サウンドトラックを生成」「音声を生成」は本日よりパブリックベータ版として利用可能です。

 「動画を編集」および「Fireflyカスタムモデル」は現在プライベートベータ版で、来月から順次提供が開始されるとのことです。「Adobe Fireflyクリエイティブ制作」もプライベートベータ版で、来月からプレミアム生成AI機能を利用可能なユーザー向けに順次提供が開始されます。

 「Project Moonlight」はプライベートベータ版として提供され、今後数か月以内に正式リリース予定です。

 12月1日まで、Creative Cloud ProプランおよびFireflyプランの加入者は、すべてのAdobe Fireflyおよびパートナーモデルによる無制限の画像生成にくわえ、Firefly Video Modelによる無制限の動画生成が利用できます。

 各機能の提供スケジュールは以下の通りです。「プロンプトで編集」は本日よりAdobe Fireflyユーザー向けに一般提供が開始されます。「Firefly Image Model 5」「サウンドトラックを生成」「音声を生成」は本日よりパブリックベータ版として利用可能です。「動画を編集」および「Fireflyカスタムモデル」は現在プライベートベータ版で、来月から順次提供が開始される予定です。「Adobe Fireflyクリエイティブ制作」もプライベートベータ版で、来月からプレミアム生成AI機能を利用可能なユーザー向けに順次提供が開始されます。「Project Moonlight」はプライベートベータ版として提供され、今後数か月以内に正式リリースが予定されています。

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