年末年始の旅行動向が明らかに! 沖縄が3年ぶりに国内1位、海外は韓国がコスパ最強



 株式会社TimeTreeは12月2日、同社の社内研究所『TimeTree未来総合研究所』と、株式会社令和トラベルが運営する旅行アプリ『NEWT(ニュート)』の共同調査による「2025年〜2026年・年末年始旅行動向レポート」を公開しました。

2025年-2026年年末年始旅行動向の共同調査レポートキービジュアル

旅行需要は回復基調も伸び鈍化

2019年から2025年までの年末年始旅行予定登録数の推移を示す棒グラフ

 TimeTreeに登録された予定データを分析した結果、2025年の年末年始の旅行予定登録数はコロナ禍前の2019年比で83%となりました。一時期は大きく減少しましたが、2022年以降は回復基調に転じており、2023年は73%、2024年は88%と上昇を続けてきた一方、2025年は前年を5ポイント下回りました。

 物価高や宿泊費の高騰といった経済的な環境変化が要因となり、日本人の旅行需要の伸びに一服感が見られています。

国内旅行トレンド:沖縄が首位に復帰

2025年-2026年年末年始の国内旅行先ランキング表

 国内旅行の行き先では、沖縄が3年ぶりに1位に浮上しました。冬でも温暖な気候を求める年末年始ならではの需要にくわえ、2025年7月に開業した新しいテーマパークへの注目が高まったことが沖縄人気を後押ししたとみられています。

 前年1位だった大阪は2位に後退しました。10月13日に閉幕した大阪・関西万博の開催期間中に多くの人が訪れたことで、年末年始の旅行先としては選ばれにくくなった可能性があります。

 その他の人気行き先は、東京が3位、京都が4位と都市部への旅行が安定的に上位を占めています。北海道は前年7位から5位へと順位を上げた一方、箱根(6位)や熱海(8位)、伊豆(10位)といった温泉地も上位に入り、年末年始をゆったりと過ごす旅行スタイルの人気がうかがえます。

海外旅行トレンド:近距離アジアが主流

2025年-2026年年末年始の海外旅行先ランキング表

 『NEWT』の予約データによると、年末年始における海外旅行のピーク出発日は12月26日、帰国は1月2日または1月6日に集中しました。旅行日数は2泊3日〜3泊4日が全体の約80%を占め、短期で効率よく楽しめる”弾丸海外”が主流となっています。

 行き先は1位が韓国、2位が台湾、3位が香港、4位がベトナム、5位がグアムと、近距離アジアが上位を独占しました。旅行代金はグループ合計9万〜17万円台がボリュームゾーンで、費用と距離のバランスを重視した傾向が見られています。

 予約者層では20代と50代が中心で、子育て世代は国内でゆっくり過ごす一方、時間の制約が比較的少ない若年層とミドル層は積極的に海外旅行へ出かけている様子がうかがえます。

為替と物価で見るコストパフォーマンス

年末年始の海外旅行先における為替と物価を総合したコストパフォーマンス指数表

 直近1年間の為替変動と物価上昇率を総合的に分析した結果、もっともおトクに旅行できるのは韓国という結果になりました。ウォンに対する円の相対的な安定や現地物価の伸びが比較的穏やかで、費用対効果の高さが際立っています。

 4位のベトナムも物価の大幅な上昇が見られず、為替物価指数が100%を下回るなど、依然として”コスパの良い海外旅行先”として魅力が続いています。

 一方、人気2位の香港や、欧州で唯一ランクインしたイタリアは、為替と物価の上昇によりやや割高な傾向が見られています。ただし、ツアー内容やホテルグレードの選択によっては、費用を抑えて旅行することも可能です。

世界6カ国の年末年始を比較:日本独特の「銀行休業日」文化

世界6カ国の年末年始(12月25日〜1月4日)における予定ワード比較表

 TimeTreeに登録された世界6カ国の年末年始期間(12月25日〜1月4日)の予定ワードを分析すると、各国の年末年始の過ごし方の違いが鮮明に表れました。

 日本では上位4位までを「休み」関連が独占し、とくに3位の「銀行休業日」は分析した6カ国中で日本にのみ登場する独特な予定です。年末年始の銀行業務が全国一律で停止するため、事前の資金準備を意識して予定登録する行動は、日本の現金文化と一斉休業システムが生み出した特有の現象といえるということです。

 一方、アメリカとイギリスでは「Work(仕事)」が1位となり、年末年始も通常営業を継続する社会が反映されています。興味深いことに、イギリスでは「Boxing Day(12月26日の祝日)」、ドイツでは「Zweiter Weihnachtstag(クリスマス翌日)」が上位に入っており、両国ではクリスマスの翌日も祝日として定着している文化の違いも見られています。

 アジア圏では、台湾の「期末考(期末試験)」、韓国の「방학식(終業式)」など各国の学校制度の違いが予定に現れ、12月も比較的暖かい気候の台湾では「露營(キャンプ)」もランクインしています。

TimeTree未来総研所長 深川泰斗氏のコメント

TimeTree未来総研所長 深川泰斗氏の笑顔のポートレート

 TimeTree未来総研所長の深川泰斗氏は、「今回の共同調査では、TimeTreeならではの世界6カ国比較と2019年からの長期推移データに、NEWTの詳細な予約データと為替×物価分析を組み合わせることで、年末年始旅行の”今”を立体的に捉えることができました。とくに興味深いのは、『銀行休業日』を予定登録する日本独特の行動です。欧米では年末年始も『Work』が上位に来る中、日本人は銀行の営業日を意識して計画を立てる。これは単なる文化の違いではなく、いまも現金決済が根強い日本の特性が、人々の行動計画に深く刻まれている証拠です」とコメントしています。

 また「旅行回復が83%で踊り場を迎えた今、量から質への転換期だと考えています。TimeTree未来総研は、こうした予定データや予約データから見える変化の兆しを丁寧に分析し、みなさまが年末年始や大型連休をどう過ごすか考える際のヒントとなる情報を発信し続けていきたいと思います」とも述べています。

株式会社令和トラベル 執行役員兼リサーチ統括 大木優紀氏のコメント

株式会社令和トラベル 執行役員兼リサーチ統括 大木優紀氏の笑顔のポートレート

 株式会社令和トラベルの執行役員兼リサーチ統括である大木優紀氏は、「今回の共同調査では、TimeTreeさんの予定データとNEWTの予約データを組み合わせることで、年末年始の旅行行動の変化をより明確に捉えることができました。とくに印象的だったのは、『旅行需要は回復しつつも、旅の選び方がこれまで以上に”慎重かつ合理的”になっている』という点です」とコメントしています。

 さらに「物価高や円安といった環境の変化を受けつつも、人々は短期間でも海外を楽しむ若年層・ミドル層、国内でゆっくり過ごす子育て世代など、自身のライフステージに合わせて、無理なく楽しめる旅を選んでいることがわかりました。とくに近距離アジアを中心に『移動のしやすさ』や『現地体験の満足度』を重視する傾向は、NEWTの予約データにもはっきり表れています」と述べています。

 大木氏は「円安・物価高が続くなかでも、目的地によってはまだまだ”おトクに海外を楽しめる余地”があります。一方で、台湾やイタリアのように割高傾向にある地域も、ツアーの選び方次第では十分に手が届く選択肢になり得ます。NEWTでは、こうした旅行者の動きや経済環境の変化を捉えながら、年末年始の判断に役立つデータを引き続き発信していきます」とコメントしています。

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