
株式会社デザポケは12月10日、全国の現役デザイナー75名を対象に実施したスキル習得に関するアンケート調査の結果を発表しました。
デジタル時代の加速とともにデザイナー間のスキル格差は拡大し、市場競争が一層激化していくことが予想される中、デザイナーがどのようなスキルセットを求め、どのように学んでいるのかについて、リアルな課題と変化が明らかになっています。
調査概要
調査対象は20代から60代以上のデザイナー75名で、インターネットアンケート調査により2025年11月11日から11月18日にかけて実施されました。
回答者の属性
性別構成

回答者の性別は女性が56.00%(42名)、男性が41.33%(31名)、その他・回答しないが2.67%(2名)となっています。
年齢層

年齢層では30代が最も多く34.67%(26名)、次いで20代が29.33%(22名)、40代が25.33%(19名)となっており、20代から40代で全体の89.33%を占めています。
職種別構成

職種としてはWebデザイナーが最も多く50.67%(38名)、グラフィックデザイナーが32.00%(24名)、動画クリエイターが5.33%(4名)となっています。
働き方

働き方ではフリーランス(個人事業主)が42.67%(32名)と最も多く、次いで正社員・契約社員が36.00%(27名)となっており、独立して働くデザイナーが約4割を占めています。
最近習得したスキル:AIスキルが45.56%で圧倒的トップ

デザイナーが最近新たに習得したスキルについて、回答者の45.56%が「AI(画像生成AI、デザインAIツールの活用)」と回答し、他のスキルを大きく引き離す圧倒的1位となりました。
画像生成AIやデザインAIツールの普及により、制作プロセスそのものが大きく変化している現状を反映していると推察されます。さらに、AIはSNSやYouTubeなどオンライン上の情報で身に着けやすいことも急速に浸透している理由と考えられます。
いまやAIは一部の先進デザイナーだけが扱う特別な技術ではなく、「デザイナーとしてアップデートしておくべきスキル」へと位置づけが変わりつつあります。
AIを効率化ツールとして活用する意識が拡大
記述式回答からは、AIを「効率化のためのツール」と捉えるデザイナーが増えていることが読み取れます。
「AIで作業を置き換える」のではなく、AIで時間を生み、その時間を「より価値の高い仕事」に振り向けたいという意識が広がっています。デザイナーが本来注力すべきクリエイティブな領域に時間を回すための手段として、AI活用が定着しつつあると推察されます。
動画・3D・コーディングは市場価値に比べてやや低い習得率
一方、動画編集(10.00%)、コーディング(5.56%)、3DCG(3.33%)といった市場価値の高いスキル領域にもかかわらず、習得率は総じて低いという結果が示されました。
AIスキルが急速に普及した影響で、まずは「日々の制作を時短すること」が優先され、結果として動画・3D・コーディングのような学習コストの高いスキルは後回しになりやすい状況が推察されます。
今後学びたい・強化したいスキル:「動画・モーション」と「マーケティング・SNS運用」がほぼ同率

スキルアップのために今後学びたい・強化したいスキルについて、「動画・モーション制作」が18.49%で最も高いニーズを集める一方で、「マーケティング・SNS運用」が17.81%とわずか0.68ポイント差と、ほぼ同水準の結果となりました。
動画・モーション制作への高いニーズ
動画・モーション制作の需要が高まっている背景には、ショート動画の普及をはじめとした企業の「動画クリエイティブ需要」の拡大が挙げられます。グラフィック中心の表現から、モーションを伴うクリエイティブへ移行しつつあり、デザイナーのスキルシフトが進んでいると推察されます。
成果への貢献を重視するマーケティング思考
マーケティング・SNS運用が動画と同等の支持を得た理由として、近年のデザイナー評価軸において、CV・PVなど「成果への貢献度」がより重視されていることが考えられます。
企業側は、単にビジュアルを作れるだけでなく、施策全体を理解し、成果につながるデザインを実現できる「マーケ思考のあるデザイナー」が求められると推察されます。
記述回答からも成果への意識が高いことが読み取れ、「デザインとマーケティングの掛け算スキルを伸ばしたい」「成果に直結するデザインを作れるようになることが重要」といった声が複数挙げられています。デザイナー自身も「成果に強い人材」を目指し始めている傾向が明確になりました。
AI時代だからこその「デザイン基礎への回帰」
今後習得・強化したいスキルとして「デザイン基礎(レイアウト・色彩・タイポグラフィなど)」が15.75%で全体の4位という結果となりました。
この要因として、生成AIやCanvaなどの普及により「誰でもそれっぽいデザイン」が作れるようになった今、プロとして差別化するために本質的なデザイン理論の重要性を再認識している層が厚いと推察されます。
3D・UI/UXは中長期的に伸びる領域
3D(10.27%)とUI/UX(9.59%)が「現在の強み」としては上位に入らなかったものの、「今後伸ばしたいスキル」では確かな支持を集める結果となりました。
この背景にはSNS広告・ゲーム・プロダクト分野の3D需要や、企業のUX改善ニーズの高まりなど今後のデザイン需要を読み取った回答と推察されます。いずれもアンケートにおいては現時点でスキル保有者が少ないため、中長期的なキャリア価値が高い伸びしろのある領域といえるでしょう。
スキルアップの学習方法:独学が34.25%で最多

スキルアップのための学習方法として最も多く選ばれたのは「独学(書籍、YouTubeなど)」で34.25%、約3人に1人が自己主導の学び方を選択している結果となりました。
学習方法を選んだ理由

学習方法を選んだ理由として、「自分のペースで進められる」が31.36%で最も多く、次いで「時間や場所の制約がない」が20.71%、「費用がかからない/安価」が18.34%となっています。
回答からは「自分のペースで進められる」「時間や場所の制約がない」といった柔軟性に関する項目や、「費用がかからない/安価」といったコスト面がとくに支持されていることが分かります。
独学が多く選ばれた理由としては、「柔軟性・コスト」といった価値が合わさった学習方法であるからだと推察されます。
オンライン学習サイトが2位:体系的に学びたい層が一定数存在
学習方法として、オンライン学習サイト(Udemy、Schooなど)が15.07%と、独学に次いで2番目に多い結果となりました。
この背景には、独学だけではカバーしきれない内容を、体系的かつ計画的に学びたい層が一定数存在していることが考えられます。学習方法を選んだ理由として「時間や場所の柔軟性」「コスト面」が重視されていたことを踏まえると、受講料が高く通学の負担も大きいオフラインスクールよりも、オンライン学習サイトに票が集まったと推察されます。
その他の学習方法
SNS(X、Instagram、Noteなど)での情報収集・発信が12.33%、現場での実践(OJT、新しい業務への挑戦)が11.64%となっており、実践的な学習方法も一定の支持を集めています。
調査から見えるデザイナーの未来像
今回の調査では、デザイナーの間でAIスキルが急速に普及し、45.56%が新たに習得したと回答しました。AI活用はもはや特別なスキルではなく、多くの現役デザイナーにとっての「前提スキル」へと移行しつつある実態が明らかになっています。
一方で、「動画・モーション制作」や「マーケティング・SNS運用」など、成果創出や業務領域の拡大につながるスキルへの関心も高まっています。
デザイナーはAIを始めとしたテクノロジーを使いこなしつつも、動画やマーケティングなどの周辺領域へスキルを拡張していく「ハイブリッド人材」への進化が求められていると考えられます。
本調査の詳細な解説記事では、記述式回答から明らかになったデザイナーが抱えるスキル習得に関するリアルな悩みや、学習に投資している金額などの実態について解説されています。
- 詳細記事:https://deza-poke.com/blog/designer_essential_skills
- 株式会社デザポケ公式サイト:https://deza-poke.com/
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- Original:https://www.appbank.net/2025/12/12/iphone-news/2883457.php
- Source:AppBank
- Author:Appbank編集部
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