

ジャグプロジェクト合同会社は10月7日、旅先で盗難や急病などに遭ったときに最初にすることをアプリで案内する『トラベルAIレスキュー』の正式提供を同日に開始したと発表しました。あわせて、調査白書「旅先の緊急時、AIはどこまで答えてよいか」も公開されています。
旅行者や出張者は、同日にスタートした海外向けeSIMの新サイト『PANAM 海外あんしんトラベルSIM』のeSIMに含まれる形か、手持ちのSIMのまま使える単体で利用できます。
旅行保険、旅行会社、ホテル予約サイト、eSIM、レンタルWi-Fi、法人向けガイドブック、危機管理の事業者向けには、ホワイトレーベル、OEM、代理店販売の形で、自社の顧客に提供する仕組みが10月14日から用意されます。
トラベルAIレスキューの仕組み
『トラベルAIレスキュー』は、AI生成だけに頼らず、公的情報で事前に保存したデータと併用することで、AIの誤回答などのリスクを減らすアプリです。AIには一般のチャットAIと同じ種類のものを使い、その周りの仕組みを同社が作ったとのことです。
連絡先はAIに生成させず、外務省などの公的情報で確かめたデータから示されます。確かめた番号だけが、押すだけで電話できるようになっています。
相談内容からは、会社への第一報の下書き(日時・場所・起きたこと)が本人の言葉だけで作られます。送信するのは本人で、自動送信は行われません。
また、別の会社のAIがすべての答えを確認し、問題があれば書き直させる仕組みになっています。出発前に保存した手順と、現地の人に見せて伝えるカードは圏外でも開けます。ただし、AIとの会話には通信が必要です。
なお、人が対応するサービスではなく、医療行為、診断、法律相談、保険の査定、入国審査、人の手配(搬送・退避)は行いません。送信されたデータはAIの学習に使われないとのことです。
提供の形
eSIMに含む形では、新サイト『PANAM 海外あんしんトラベルSIM』の全商品にトラベルAIレスキューが含まれます。
- PANAM 海外あんしんトラベルSIM:https://panam.travelsim-japan.com/jp/anshin/
単体では、手持ちのSIMやeSIMのまま使え、通信の提供元は問われません。
- トラベルAIレスキュー(個人向け):https://panam.travelsim-japan.com/jp/travel-ai/
事業者向けには、法人向けトラベルSIM(トラベルAIレスキュー込み)を自社ブランドで販売する形と、自社のアプリや会員サイトの中で使えるようにする形(要件ごとに見積もり)があります。業種ごとの想定事例も公開されています。
- 法人版トラベルAIレスキュー(業種ごとの想定事例):https://panam.travelsim-japan.com/jp/business/rescue/
法人向け『トラベルSIM法人版』は、海外出張者の通信と、深夜や多言語の問い合わせへの最初の対応をまとめ、会社への第一報を整えるサービスです。10月14日に提供が開始され、事前の相談も受け付けられています。
- トラベルSIM法人版:https://www.travelsim-japan.com/corp/
新サイト『PANAM 海外あんしんトラベルSIM』
新サイトは、海外へ行く旅行者や出張者向けのeSIMサイトです。2014年から提供されてきた『トラベルSIM』を組み直し、全商品にトラベルAIレスキューと返金保証が含まれます。対象は180カ国です。
使い方は、購入し、メールで届くQRコードを読み込み、出発前に「出発前あんしんチェック」で圏外でも開ける手順を保存する、という3段階です。旅先では画面の「緊急SOS」から、困りごとの種類(SIM・体調・盗難・移動・マナー・会話)を選びます。
調査白書の主な結果
白書では、一般のチャットAIの緊急時の回答が検証されています。「一般のチャットAI」は、2026年9月時点で大手チャットAIサービスの無料版・有料版に使われていたのと同じモデルを、開発者向けの窓口(API)から、アプリ独自の指示やウェブ検索を含めずに呼び出したものです。サービス名は伏せられています。
調査1:AI生成の緊急連絡先、日本大使館の番号に誤り
会社の総務担当者が出張者向けの緊急連絡先一覧を一般のチャットAIで生成する場面を、出張の多い20カ国の首都で再現しています。無料2つ、有料1つのAIで計60枚を生成し、どのAIか伏せた採点担当2人が外務省 海外安全ホームページの記載と照合したとのことです。
警察・救急・消防の番号は、3つのAIとも実在する番号でした。誤りが出たのは日本大使館の番号で、外務省の資料で番号を照合できた11カ国のうち、無料のAIの1つが3カ国(インドネシア・メキシコ・トルコ)で公式サイトの代表番号と異なる番号を示しました。
このAIの一覧20枚には、番号を確かめるよう促す一文が1枚もありませんでした。ほかの2つのAIは17枚と20枚に記載があり、有料のAIの一覧に番号の誤りはなかったということです。
調査2:24場面の机上演習
旅券の紛失、盗難、急病、通信、移動の乱れ、詐欺の手口、災害、会社への報告の8種類を3場面ずつ、24カ国で用意した模擬検証です。比較対象は危機管理会社、総務の資料、ガイドブック、無料と有料のチャットAI、トラベルAIレスキューの6つの備えで、どれが同社のものかを伏せた判定担当が採点しました。
会社への第一報では、トラベルAIレスキューが2.00点で、総務の資料(0.92点)、ガイドブック(0.25点)、無料のチャットAI(0.33点)、有料のチャットAI(0.46点)を上回りました。一般のチャットAIは、盗難や急病の場面でも会社への連絡を案内することがほとんどなかったそうです。

有料のチャットAIと比べた6つの観点のうち5つで、トラベルAIレスキューは同等以上でした。会社への第一報と進められる対応の割合(80%対70%)では上回った一方、「初動の助言」は連絡先と手続きの正確さを優先した結果、下回っています(1.75点対1.92点)。

答えるAIを有料のチャットAIと同じモデルに替えると、初動の助言は1.52点から1.65点に上がりました。しかし、安全性の再試験で国別の要点の網羅率が96.4%から89.5%に下がったため、替えていないとのことです。
医療搬送や退避などの人の手配は危機管理会社の役割で、組み合わせると会社への第一報と人の手配がそろうと説明されています。
調査3:国ごとに違う連絡先と手続き74問
パスポートを失くしたときの窓口、緊急番号、救急車の費用、国際運転免許証、盗難の届け出、日本語の窓口の6項目を20カ国で調べ、公的情報で採点できる74問で比較しています。
公的情報との食い違いは、トラベルAIレスキューが0件、一般のチャットAI3つが14〜18件でした。要点の網羅率は95.4%対58.1〜73.2%です。トラベルAIレスキューは公的情報で確かめたデータを使うため、条件は同じではないと注記されています。

このほか、別の会社のAIが答えを確認する仕組みの導入前後では、詐欺の手口と本物の相談を見分けられた組が40組中28組から35組に増えたとのことです。
今後の取り組みと調査の概要
今後は、番号と手続きだけを確認の対象とし、その場の行動はAIの判断に任せる形を新しい場面で確かめたうえで本番に入れ、結果を白書に追記する予定です。人の手配は、危機管理会社や保険のアシスタンスと組み合わせる方針で、会社が契約した窓口の番号を登録すれば押すだけで電話できます。
測定日は2026年9月22日(74問)、9月26〜27日(見分け40組)、9月27日(連絡先一覧60枚、机上演習24場面)です。判定は、どれが同社のものかを伏せた記憶を持たないAI(Claude)の判定担当2人が行い、番号は外務省の記載と照合されました。基準は測定前に定めてSHA-256で記録されており、同社の自社調査です。
代表のJag Yamamotoさんは「ほとんど正しい一覧ほど、誤りは見つかりません。だから当社は、連絡先だけはAI生成に頼らず、確かめたデータから示すことにしました」とコメントしています。
実際の緊急時は、現地の警察・救急・医療機関・大使館を最優先するよう注意が示されています。
- 調査白書「旅先の緊急時、AIはどこまで答えてよいか」:https://panam.travelsim-japan.com/jp/research/
- プレスルーム:https://panam.travelsim-japan.com/jp/press/
- Original:https://www.appbank.net/2026/10/08/iphone-news/3125011.php
- Source:AppBank
- Author:Appbank編集部
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