障がいや言語の壁を越える会話支援アプリ『コミュヘル』がGoogle Playで公開! 非エンジニアがAIと3か月で開発



コミュヘルのGoogle Play公開告知。スマホ画面とキャラクター

特定非営利活動法人ZESDAは11月2日、プロボノスタッフの高田竜一さんが個人開発した会話支援アプリ『コミュニケーションヘルパー(コミュヘル)』を、Google Playで正式リリースしたと発表しました。音声、文字、多言語翻訳を組み合わせ、障がいや言語の壁を越えた会話を支えるアプリです。

なお、アプリの開発と運用は高田さん個人が行っています。

音声・文字・翻訳を組み合わせた会話支援アプリ

『コミュヘル』は、音声のリアルタイム文字起こし、テキストの音声読み上げ、多言語翻訳を統合したサービスです。聞こえ方や見え方、言語が異なる人どうしが、同じ会話に参加できる環境を目指しています。

発話が難しい場面では、「はい」「いいえ」「ありがとう」「トイレ」などの定型カードを選ぶだけで、意思を音声で出力できます。対応言語は日本語、英語、韓国語の3言語です。

コミュヘルのアプリ画面。定型カード、ホーム、通訳、トーク履歴の4画面

利用の流れは、ホストが会話用の「ルーム」を作成し、参加者がQRコードの読み取りか合言葉の入力で入室する形です。参加側はアプリのインストールや会員登録が不要で、スマートフォンのWebブラウザからすぐに利用できます。

想定されている3つの利用シーン

友人や家族との外食・旅行

聞こえにくい人は会話をテキストで確認でき、文字の認識が難しい人は音声読み上げで内容を把握できます。それぞれに合った手段で同じ会話にくわわれるため、「何を食べたいか」「次にどこへ行きたいか」といった日常のやり取りで、本人の意思表示と相互理解を支えるとのことです。

飲食店・観光地での訪日外国人との交流

店員が日本語で話した料理や日本酒の説明が、相手の母国語に翻訳されて伝わります。旅行者からの質問は日本語のテキストに変換されて共有されます。注文のやり取りにとどまらず、味わいや食文化、地域の魅力を語り合うきっかけになることを想定しているそうです。

福祉施設や在宅介護での意思表示

発話や細かなタイピングが難しい場面でも、ワンタップの定型カード選択や簡易な文字入力、読み上げを使えます。本人の要望や体調を家族や施設職員に伝えるコミュニケーション補助具としての利用が想定されています。

なお、これらは想定利用例です。利用者の状況や通信・端末環境に応じた操作性を検証し、フィードバックをもとに継続的にアップデートしていくとのことです。

12年越しの構想を生成AIで具現化

構想の出発点は、約12年前にさかのぼります。高田さんは当時、音楽事務所を起業し、商業施設などで地元ミュージシャンが出演するイベントを企画・制作していました。出演者の入れ替え中も会場の一体感を保つため、障がいのある子もない子も共に学び踊るキッズダンスチームに出演を依頼していたことが始まりだったということです。

その後、子どもたちやその家族との交流が深まるなかで、「自分が同じ障がいを持つ立場だったらどう行動するか」「支える家族の負担を軽くできないか」と考えるようになったそうです。携帯電話の販売や電波調査など通信業界での実務経験をもとに、文字と音声を組み合わせた意思疎通支援を着想しました。

当時は既存アプリを調べて企画書にまとめたものの、プログラミングの技術がなく、外注に必要な開発費用の壁もあり、実装を断念したとのことです。

転機は、ブログ記事の作成やSNS投稿の自動化にAIで取り組み始めたことでした。「今の技術なら、10年以上前に諦めた構想を自分の手で形にできるのではないか」と考え、アプリ開発に踏み切ったそうです。

開発では、実現したい機能や利用シーンをAIにプロンプトとして指示し、コード生成、バグ修正、動作検証を繰り返しました。着手からおよそ3か月で、Google Playでの正式リリースに至っています。

ZESDAのAI活用の取り組みが後押し

ZESDAは、組織内でAIツールの導入と活用を進めてきたと説明しています。広報コンテンツの作成支援や業務の効率化にくわえ、メンバーが専門性や問題意識をAIでどう拡張できるかを探る勉強会や知見共有も定期的に行われているそうです。

非エンジニアの高田さんによる今回のアプリ開発は、こうした取り組みから生まれた個人の社会実装の事例と位置づけられています。

翻訳機能に込めた「相互理解」の思い

多言語翻訳機能の背景には、日本を訪れる外国人旅行者が増える一方で、受け入れ側の市民や店舗スタッフが外国語への苦手意識から交流の機会を逃してしまう場面があるという問題意識があります。高田さん自身も、言語の壁による戸惑いや不安を感じてきたそうです。

相手は母国語で話し、こちらは普段通りの日本語で応じる。そうした双方向のやり取りが成り立てば、初対面でも会話を始める心理的なハードルを下げられるとしています。

開発者・高田竜一さんのコメント

高田さんは次のようにコメントしています。

「私にとって、コミュヘルの根底にあるテーマは『相互理解』です。聞こえ方や見え方が異なっていても、同じテーブルを囲んで会話と食事を楽しめる。海外から訪れた旅行者が地域の人に話しかけ、話しかけられた側も自然体の日本語で応じられる。そんなあたたかい日常の景色を思い描きながら開発しました」

さらに「12年以上前に技術と費用の壁で断念していたこの構想は、ZESDAの活動に参画し、最新のAIを組織全体で実践的に活用していく刺激的な環境や仲間に出会えたからこそ、形にすることができました。今後は実際に使ってくださる方々の声を真摯に伺いながら、日々の暮らしに寄り添い、本当に役立つサービスへと育てていきたいと考えています」と述べています。

今後の展望と運用方針

今後は、地域の飲食店や福祉施設などで案内カードの配布を進める予定です。現場から得られるフィードバックをもとに、UI/UXの向上や想定シーンに応じた機能改善を進めるとのことです。

また、プライバシーの保護と通信の安全性確保を重要課題と位置づけています。セキュリティ脆弱性の定期的な点検、機能改修に伴う検証の徹底、継続的なシステム保守を行うとしています。

アプリの概要と料金

アプリ名は『コミュヘル – コミュニケーションヘルパー』で、Google Play(Android)で提供されています。開発・運営は高田竜一さんです。

部屋の作成は月額300円で、3日間の初回無料体験が用意されています。部屋への参加は無料です。最新の利用条件はアプリ内の申込画面で案内されています。




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