無料OSSオフィス「ibisOffice」Linux版が登場! AppImage版とFlatpak版を用意



ibisOfficeでWord・Excel・PowerPointの文書を並べて表示した画面

株式会社アイビスは11月5日、Word、Excel、PowerPoint形式の文書を閲覧・編集できるオープンソースのオフィススイート『ibisOffice(アイビスオフィス)』のLinux版を、AppImage版とFlatpak版の2形式でリリースしたと発表しました。

ibisOfficeは無料で使えるオープンソースソフトウェアで、GitHubから誰でもダウンロードできます。

Linux版の概要

ibisOfficeは、Word(.docx)、Excel(.xlsx)、PowerPoint(.pptx)形式の文書をMicrosoft Officeと同じ見た目で表示し、編集・保存できるオフィススイートです。2026年10月12日にWindows版、macOS版、Web版がリリースされており、今回Linuxのデスクトップ版がくわわりました。

Linux版は、LinuxのウィンドウシステムであるWaylandとX11の両方に対応しています。

紹介動画

2つの提供形式

ディストリビューションや使い方に合わせて選べるよう、AppImage版とFlatpak版が提供されています。

AppImage版

ファイル名は「ibisOffice-<バージョン>-Linux.AppImage」です。ダウンロードして実行権限を付け(chmod +x)、ダブルクリックするだけで起動でき、インストールもFUSEも不要です。

主要なデスクトップLinux(glibc 2.31以降のUbuntu 20.04、Debian 11以降、Fedora、Arch Linuxなど)の64bit x86_64で動作します。

初回の起動時には、アプリの一覧への追加が提案されます。追加すると、.docx、.xlsx、.pptxファイルの「別のアプリケーションで開く」にも表示されます。

また、新しい版が出ると自動で更新され、更新ファイルはSHA-256で検証してから置き換えられます。

Flatpak版

ファイル名は「ibisOffice-<バージョン>-Linux-<アーキテクチャ>.flatpak」です。Flatpakの仕組みでアプリを他のソフトウェアから分離して導入・管理でき、x86_64とaarch64の両方に対応しています。

ダウンロードしたファイルは、次のコマンドで導入できます。

“` flatpak install –user ibisOffice-<バージョン>-Linux-<arch>.flatpak flatpak run jp.ne.ibis.ibisOffice “`

アプリケーションIDは「jp.ne.ibis.ibisOffice」です。実行ファイル、アイコン、デスクトップエントリ、ライセンス表示だけを収め、外部の共有ライブラリ(.so)は同梱されません。

Linux版の機能

Word、Excel、PowerPointの3形式を、1つのアプリで閲覧・編集・保存できます。マクロ付きのファイル(.docm、.xlsm、.pptm)も開いて保存できますが、マクロは実行せずそのまま残されます。

Windows版、macOS版、Web版と同じRustのコードで動作し、Officeと同じ見た目になるよう開発されています。画面はGPUで描画され、スクロール、拡大・縮小、シートの切り替えが滑らかに行えるとのことです。

Microsoft Officeの書体が入っていない環境では、Liberation、Caladea、Carlito、Noto CJKなど同じ字幅の書体で代わりに表示されます。同社は、行の折り返しやページの区切りが崩れにくいとしています。

このほか、コマンドラインからのPNG・PDF書き出し(–export)に対応し、サーバーでの変換にも使えます。オートコレクト、自動回復、日本語入力(IME)、縦書き、ルビにも対応しています。

処理速度の比較

同社は、Linuxの同じPCでLibreOfficeとONLYOFFICEとの比較結果を公開しています。ファイルを開いて最初の画面が出るまでの時間で、数値は小さいほど速く、かっこ内はibisOfficeを1とした場合の倍率です。

  • プレゼンテーション(.pptx、31スライド、35.9MB):ibisOffice 0.81秒、LibreOffice 5.02秒(6.2倍)、ONLYOFFICEは計測できず
  • 文書(.docx、0.12MB):ibisOffice 1.37秒、LibreOffice 1.57秒(1.1倍)、ONLYOFFICE 4.11秒(3.0倍)
  • 表計算(.xlsx、22シート、グラフ29個、数式58.9万個、13.7MB):ibisOffice 0.72秒、LibreOffice 9.31秒(12.9倍)、ONLYOFFICE 13.38秒(18.5倍)
ibisOfficeとLibreOffice、ONLYOFFICEのLinux表示速度比較グラフ

1,048,576行、20列、122MBのCSVファイルでは、ibisOfficeが0.72秒、LibreOfficeが17.29秒(24.0倍)、ONLYOFFICEが91.2秒(126.5倍)です。ONLYOFFICEは100万行も30万行も開けず、約1分で「メモリ不足」のエラーとなったため、10万行(9.12秒)の10倍で推定した値となっています。

ibisOfficeとLibreOffice、ONLYOFFICEの100万行CSV初回表示速度比較グラフ

計測は、アプリを起動しておいてファイルを開かせ、最初の画面が完全に表示されるまでの時間を、ウィンドウの録画(最大100フレーム/秒)から求めた3回の中央値です。CSVは、最初の画面が出て閲覧・スクロールができるようになるまでの時間です。

計測環境は、Intel Core i7-10700K(メモリ16GB、GPUなし)、Ubuntu 20.04.6 LTS(GNOME・X11)で、ibisOffice 0.8.5、LibreOffice 26.8.2、ONLYOFFICE 10.0.0が使われました。

製品仕様とダウンロード

最新バージョンは0.8.5です。対応形式はWord(.docx)、Excel(.xlsx)、PowerPoint(.pptx)、csv、tsvで、docm、xlsm、pptmは開けるもののマクロは実行されません。xls、ppt、odt、ott、ods、ots、odp、otpは簡易対応で、docは今後対応予定です。

Linux版以外では、Windows 11以降(64bit Intelおよび互換CPU)、macOS 11以降(Apple Silicon)、Web版(WebGPU対応ブラウザ)が用意されています。UIは日本語と英語に対応しています。

ライセンスはAGPL-3.0と商用ライセンスのデュアルライセンスです。Linux版はGitHubのリリースページから無料でダウンロードできます。

今後の展望

同社は、ibisOfficeを世界でトップクラスのオープンソースのオフィススイートにすることを目指しているとのことです。Windows、macOS、Linuxのデスクトップ版とWeb版で同じ操作と見た目を提供し、今後も対応する機能と環境を広げていくそうです。

また、同社が提供するクラウドストレージ「ibisStorage」のオンライン上で、Word、Excel、PowerPointのファイルのプレビューと編集ができるようにする予定です。

代表取締役社長の神谷栄治さんは、「日本のIT貿易赤字を減らしたい、IT自給率を上げたいと日々思いながら活動しています。ibisPaintで外貨を稼ぎつつ、日本企業や行政機関の米国製のプロダクティビティ系の製品依存をさげていきたいと思います」とコメントしています。




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