TikTokがダウンロード数1位、ピッコマが収益1位 日本アプリ市場2025年上半期レポート発表



Adjust株式会社とSensor Towerは7月23日、日本市場におけるアプリの最新動向を分析したレポート『モバイルアプリトレンドレポート 2025:日本版』を発表しました。

本レポートは消費者のアプリ支出額が世界第3位を誇る日本市場(2024年市場規模165億ドル)を対象に、2023年1月から2025年5月までの期間において、ゲーム、ファイナンス、エンタメ、コミックの4つの主要カテゴリーにおける市場動向を分析したものです。Adjustが計測する上位5,000超のアプリデータと、Sensor Towerによるアプリのダウンロード数および消費支出額のデータをもとに、ユーザー行動の変化や収益モデルの進化について詳細に考察しているとのことです。

調査結果によると、2025年第1四半期、日本で最もダウンロードされたアプリは『TikTok』、消費支出額1位は『ピッコマ』という結果となりました。同社によると、『ChatGPT』や『Pokémon TCG Pocket』の登場など、ダウンロード数では話題性・実用性の高いアプリが目立つ一方、収益面ではゲーム・コミック系アプリが上位を占め、ユーザー行動の多様化が浮き彫りとなったとしています。

また、App Tracking Transparency(ATT)オプトイン率は、2024年上半期の20.7%から2025年上半期には21.4%に上昇しました。これはユーザーの信頼が着実に高まっていることを示すと発表されました。

ゲームアプリは安定成長、カードゲームとカジノゲームが牽引

ゲームカテゴリーでは、2025年上半期に日本のゲームアプリは全体的に安定成長する中、ダウンロード数と支出額ともに1位にランクインした『Pokémon TCG Pocket』といったカードゲームアプリはダウンロード数が27%増加したとのことです。とくにカジノゲームアプリは138%増加と急激な伸びを見せ、課金耐性の高いジャンルが収益と利用時間を牽引し、中でもRPGは高収益モデルを維持しているとされます。同社は今後、戦略的なジャンル選定が成長の鍵となると分析しています。

ファイナンスアプリが全カテゴリ中最大の成長率

ファイナンスアプリは2025年上半期、前年比でダウンロード数が50%増、セッション数が22%増となり、全カテゴリの中で最も成長を遂げたと発表されました。決済アプリが成長をリードしており、インストール数はファイナンスカテゴリ全体の64%、セッション数では72%を占めているとのことです。

アプリ内滞在時間も引き続き増加傾向にあり、2025年上半期の平均は5.07分に達しました(2023年:4.57分、2024年:4.98分)。中でも株式投資アプリは8.86分と最も長く、仮想通貨アプリも8.38分と高水準を記録したとされます。

一方で、ユーザー1人あたりの月間平均収益(ARPMAU)は、パンデミック後の反動により10.25ドルから3.80ドルへと大きく減少しました。同社は今後、高いエンゲージメントを収益につなげる持続可能なマネタイズ戦略の構築が課題になると指摘しています。

ショートドラマアプリが高収益を記録

エンターテインメントアプリは2025年上半期、前年比でダウンロード数が14%増、セッション数が5%増と堅調に成長しました。とくに『DrameBox』や『Good short』といったショートドラマアプリが大きく躍進し、2023年8月〜2024年6月の間に、日本のユーザーはショートドラマアプリに1,322万ドルを課金したとのことです。

ダウンロード数が世界全体のわずか2.16%であったにもかかわらず、収益は全体の5.13%を占め、日本は世界第2位の収益市場となりました。さらに、ダウンロードあたりの収益(RPD)は4.13ドルと、モバイルゲームアプリをも上回る水準を記録したとされます。

コミックアプリは中長期リテンションが課題

『LINEマンガ』、『ピッコマ』、『めちゃコミック』など主要コミックアプリは、ダウンロード数が前年比17%減少した一方で、平均セッション時間は17.57分と高水準を維持したと発表されました。

継続率は低下傾向にあり、1日目で23%(前年比−4pt)、30日目では7%(−3pt)と中間層の離脱が課題となっているとのことです。月間平均収益(ARPMAU)は減少傾向にあり、日本の中央値は0.43ドル(前年比減)、米国も0.95ドルから0.54ドルに下落しました。同社は今後、支出抑制傾向が見られ、価格やコンテンツ戦略の見直しが求められるとしています。

Adjust日本ゼネラルマネージャーの佐々直紀氏は「2025年の日本のアプリ経済は、多様化と成熟した運用姿勢が際立っています」とコメント。Sensor Tower主席アナリストのドニー・クリスティアント氏は「日本のアプリ市場は、いま新たな変革のフェーズを迎えています」と述べています。

レポートは以下のURLから無料でダウンロードできます。




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